かわうそ日記 ( 2008年10月 ) こよみのページ こよみのページ
大斎原  (2008.10.2[木])

裏側からの大斎原行ってみたいと思い、いつでも行けそうな場所なのに、なぜだか行ったことのないという場所があります。
熊野本宮大社の旧社地である大斎原(おおゆのはら)はそうした場所でした。

私の家から熊野本宮までは車で 1時間半。
現在の本宮大社は今までにも幾度も訪れているのですが、なぜだかこの大斎原へは足を踏み入れたことがありませんでした。

今日は朝から車で片道 2時間はかかる病院まで日帰りの人間ドックにでかけました。早朝から 2時間車を運転して病院に出掛け、到着して直ぐに検査をしてはたして大丈夫なのかと毎年思いつつも、職場が指定する「最寄りの病院」がそこなのだから仕方がないと、一日がかりで検査を受けに行きます。

朝早くから出掛けたお蔭で検査は昼過ぎには終了。
病院から外へ出ると、雲は多いものの空の色は秋らしい深い蒼。
あとは家に帰るだけだから、多少道草をしても罰は当たらない。そう思ったときに秋の大斎原が道草先として思い浮かびました。

最短コースより30分遠回りとなる山の中の道を通り、更に15分余分に走るとそこは熊野本宮大社のある本宮の町です。
本宮大社の旧社地、大斎原は現在の熊野本宮大社から500m程離れた熊野川と音無川に挟まれた中州のような場所。明治二十二年の大洪水で流された旧社殿の座所でした。
入り口には最近になって作られたであろう金属製(?)の大鳥居があって、大斎原の場所を示しています。

大斎原内域大鳥居をくぐり抜けると明治の洪水以後に植えられたという杉の木立に囲まれた旧本宮大社の社地に入ります。中には1m程の高さの石垣の巡らせた土地とその中央にかつてはこの地にあった中・下社・摂末社に祀られていた多くの神々を祀る二基の石祠が残っているだけでした。

訪れたのが平日の午後ということもあって、人影はほとんどなく、たまに人とすれ違うときには自分の足音がうるさく聞こえるのではないかと心配になるほど静かでした。

社地の中央にある二基の石祠は、それほど大きなものではなくて、石祠そのものよりその手前の木々が地面に落とす長い影の方が余程目立つ程。ひっそりとそこにあるという風情でした。

石祠の前で手お合わせ、木を眺めたり、石垣の苔を眺めたり、空を眺めたりして小一時間を過ごした後、社地の裏に続く熊野川の河原に出て、再び小一時間。
裏からの大斎原の眺めも存分に楽しんで、初の大斎原入りは終了しました。

熊野川の河原を立ち去る頃には、陽は西の山にかかり川風は冷たくなっていました。
十月とはいえ、秋の陽は短いものです。


ページトップ by かわうそ@暦 (PV since 2008.7.8) Powered by HL-imgdiary Ver.3.00