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 【人生古より誰か死無からん】(じんせいいにしえより だれかしなからん)

 人生において、昔からだれが死ななかったであろうか、だれもみな死ぬのだ。
 当然来たるべき死を恐れまいとすること。
 出典は『過零丁洋』・・・文天祥の詩

 文天祥は南宋の人。中国の有名な高級官僚試験である科挙を受験、わずか二
 十歳の若さにもかかわらず状元(第一位)で合格するという大秀才。
 往々にして、こうした大秀才は逆境に弱いが、北方から押し寄せる元の大軍
 との戦いの中で右丞相として南宋を支えた文天祥は希な例外。

 元軍に捕らえられ、三年間の過酷な幽閉生活を送るうちに、祖国は滅亡。
 南宋滅亡後、文天祥の才能を惜しんだフビライから元へ仕えることを勧誘さ
 れるがこれを拒否してついには刑場に消えました。

 『過零丁洋』は文天祥が捕虜となった後、まだ戦い続ける南宋軍に降伏を勧
 める文章を書くように脅迫された際にこの詩を示して断ったとされます。
 詩の結びは、

  人生自古誰無死 (人生古より誰か死無からん)
  留取丹心照汗青 (丹心を留取し汗青を照らさん)

 人は誰も皆死ぬものだ。
 それより私は、真心を留めて歴史を照らそうと思う。

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