【麦を踏む】 (むぎをふむ) 春の季語。 冬の寒さに耐えて懸命に芽を出した麦を踏みつける行為。 一見残酷なようだがこうすることで茎葉の生長を一時的に抑え、根の発育を うながすという。 霜柱による根の浮き上がりも防ぐ。従って株の張りがよくなりより多くの収 穫が期待できるのである。 雑草は人に踏まれるが故に、より強くなるとか。 結果的にか、計画的にかの違いはあるとはいえ、どちらも踏まれるという一 見ありがたくない経験によって、生命力を強めています。 辛い体験や、嫌な事柄を取り除いてやることは、「優しい行為」に映るもの ですが、長い目で見たときそれは生命力や生長の可能性をかえって損なう行 為である場合もあるのです。 現在は麦畑自体を見ることが無くなったため、寒い朝に後ろ手で麦を踏む人 の姿を目にすることも無くなってしまいました。と同時に将来を思って敢え て「麦を踏む」ような教育も忘れられてしまっているようです。日刊☆こよみのページ スクラップブック