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 【孫生え】 (ひこばえ)
 余蘖(よげつ)、蘖(ひこばえ)ともいう。
 伐られた木の根や、倒れた老木の幹から生える新芽のことをいう。

 職場の庭に、棕櫚(シュロ)の切り株があります。昨年何が原因か涸れてし
 まったため切り取られてしまったものです。
 この間その切り株のあるところから、青緑色の尖った葉が出ていました。

 孫生えというと、大きな木の切り株から生じた芽のことを想像してしまうの
 ですが、小さな棕櫚の切り株から生えたこの芽も立派な孫生えです。
 この芽から見ると、祖父母に当たる棕櫚がなぜ枯れたのかはわかりませんが
 枯れるには枯れる何かの理由があったのでしょう。でも枯れはしても死んで
 はいなかった。

 本来、植物は親の木が実を結び、その実が落ちて新しい芽が生えるというサ
 イクルが普通の代替わりで、これが親子による命の継承と考えられたからで
 しょうか。だからこの普通のサイクルによらない切り株や倒木からの直接の
 命の継承を孫生えと呼ぶのではないでしょうか。

 語源は定かではありませんが、職場の庭の枯れた棕櫚の木は、孫生えという
 方法でまだ生き続けている証を見せてくれています。

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