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 【馬酔木と樒】 (あしび と しきみ)
 馬酔木(あしび、またはあせび)と樒(しきみ)は春の彼岸の頃に咲く白い
 花で、共に墓地・霊園などでよく見かけます。
 本来は山地に自生する植物です。どちらも春の季語となっています。

 どちらも白い花を咲かせる春の花ということ以外にも両者には共通点が有り
 ます。それはどちらも有毒であるということ。

 馬酔木は「あししびれ」が語源といわれ、漢字の「馬酔木」は馬がこの葉を
 食べると酔っぱらったようになるからといわれます。万葉集にも登場する植
 物です。薄紅色をした新芽ももまた美しい植物です。

 樒(しきみ)の語源は「悪しき実(あしきみ)」だとされ、初秋の時期に八
 角形の袋果をつけ、中には赤い種子が出来ます。この実は猛毒で、食べれば
 死に至ることもあります。

 明治の初めに、日本にやってきた外国人が樒の実を中国産の香辛料である八
 角(はっかく)と同種の物だろうと思いこんで輸出し、ヨーロッパで死者を
 出したという事件もあったそうです(笑うに笑えない話です)。


 この二つの花、何れもきれいな花で墓地によく植えられており、花期は春の
 彼岸の頃ということですから、春の彼岸花という感じがします。
 どちらも有毒な植物が墓地に植えられていることが不思議でしたが、これは
 土葬が一般的であった時代に、墓地を動物等が荒らすことが無いようにとい
 う意味があったそうです。

 馬酔木も樒もその花は美しい。
 美しい花には棘ばかりではなく、毒もあるのですね。


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