日刊☆こよみのページ スクラップブック
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【甕覗】 (かめのぞき)
(染物用語) 極めて淡い青色。
藍染めのいちばん薄い色にを表す。
覗色(のぞきいろ)ともいう。
藍染めは藍甕に糸や布を浸し、これを絞って大気中で酸化させ、これを何度
も繰り返しながら徐々に濃い藍色をつくってゆくのだそうです。
しかし染色業がまだ専業化する以前は、藍甕の中を一度くぐらせただけの淡
い藍色の染め物がほとんどだったと言われます。
このように一度だけ藍甕をくぐらせただけの染め物を一入染(ひとしおぞめ)
というそうですが、何度も何度も甕をくぐって次第に濃くしてゆく普通の藍
染めからすると、一入染で現れる淡い藍色は、
ちょっと甕を覗いただけの色
ということでこの名が付いたのだと言う説があります。覗色も同じ理由から
出た名前。どことなくユーモラスな名前です。
またこれとは別に、大きな甕に張られた水を覗き込むと、うっすらと青みが
かった色に見えるとから甕覗だとする説もあります。
そういえば、海が急に深くなって、それが水の色がそこだけ藍色に見えるよ
うな場所を「甕」と呼ぶことが有ります。深い水は藍色に見えるから、水の
色は藍色で、甕に入る程の少量の水だと薄い薄い藍色に見えると考えたのか
もしれません。
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