日刊☆こよみのページ スクラップブック
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【白夜】(はくや)
北極または南極に近い地方で、夏、日没から日の出までの間、散乱する太陽
光のために薄明を呈すること。びゃくや。 《広辞苑》
私の年代(か、それより幾分上の皆さん方)は
「知床の岬にハマナスが咲く頃・・・」
という歌詞で始まる「知床旅情」という曲をご存じでしょう。
私も子供心に、
「知床と言うところまで行けば、白夜という状態が体験出来る」
と思ったものです。
確かに北海道は本州や、九州、沖縄などに比べれば夏の日は長いのですが、
実際は白夜と呼ばれる状態までなることは有りません。
広辞苑の記述では、日出没があってもよく、ただ薄明(朝夕の、薄明るい様
子)の状態が続く場合も白夜と呼ばれると言うことなら、多少地域の制限は
緩和出来そうですが、それでも北海道にそんな状況を望むのは無理。
あれは、詩情を誘うために入れた言葉だったようです。残念。
普通、白夜が見られる場所としては南北66.6°以上の極北の地域。この角度
は地球の自転軸の傾き23.4°から来ます。
66.6° = 90° - 23.4°
という計算です。北海道はその北端まで行っても北緯45°を超えることはあ
りませんから、白夜が起こる場所にはほど遠いと言うことになります。
◇「白夜」は「はくや」
今回調べていて驚いたのは、
白夜 = はくや ・・・ ○
白夜 = びゃくや・・・ △ (間違いじゃないけど・・・)
ということだと言うこと。今まで「びゃくや」が正しいと思って、一度も疑
ったことが有りませんでした。
でも本来は、「びゃくやとも読む」といったものだったのですね。
広辞苑(第五版)の記述も、そうなっていました。
ではなぜ、「びゃくや」という読みが一般化したのかというとこれが、先の
知床旅情のヒットだったそうです。
歌の中で「びゃくや」としていたため、これが人口に膾炙して、一般的には
「はくや」より「びゃくや」の方がなじみのあるものになってしまったよう
です。
この辺の事情は始めて知りました。
私は、物心付いたときから、「びゃくやは明けぬ」だと思っていたのでした。
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