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【免れて恥じ無し】(まぬがれて はじなし)
 悪いことをしたのに罪にされなかったことをよいことにして、自分のしたこ
 とを恥と思わない。良心のない恥知らずをいう。 《成語林》

 北海道土産の定番商品であった石屋製菓の「白い恋人」に賞味期限改ざんが
 行われていたことが発覚して問題になっています。
 石屋製菓に関しては、衛生管理の杜撰さも問題になり、行政処分が科せられ
 るのは確実のようです。

 最近はこんなニュースが「あたりまえ」になってきて、ああまたかと思うだ
 けでさほど驚くことが無くなりました。慣れっこになってしまってはいけな
 いのでしょうけれど、こう続くとね。

 西洋の倫理観は罪と罰に立脚し、東洋の倫理観は名と恥の概念に立脚してい
 ると昔、「名と恥の文化」(三樹三郎著)という本を読んで、なるほどと納
 得した記憶があります。「名と恥」とは名誉と恥を知ること。

 白い恋人の賞味期限偽装事件も法律違反か否かは、私には判りませんが、法
 律の素人の私でもそれが恥ずかしい行為だとは判ります。行っていた人たち
 の態度は、「免れて恥じ無し」という言葉そのもの。

 この言葉の出典は、論語為政篇の次の言葉。

  これを道びくに政を以てし、これを斉(ととの)うるに刑を以てすれば、
  民免れて恥ずることなし。
  これを道びくに徳を以てし、こてを斉うるに礼を以てすれば、
  恥ありて且つ格(ただ)し。

 です。
 人を法律で規制しようとすると、人はその法律の抜け道を探し、法律違反と
 なりさえしなければ悪いこととも思わなくなるが、道徳的な生き方を指導し
 て行けば、法律などなくとも自ら恥を知って悪いことを行わないようになる
 と言うような意味です。

 「免れて恥じ無し」ではなく、「恥ありて且つ格し」と行きたいものです。


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