日刊☆こよみのページ スクラップブック
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【顰に倣う】(ひそみにならう)
(「西施の顰に倣う」ともいう)
[荘子天運]西施が心臓の病のために苦しげに眉をひそめたのを醜女が見て
美しいと思い、自分もそのまねをしたが、それを見た人は気味悪がって門を
とざした。いたずらに人の真似をして世の物笑いになることにいう。また、
他人に見倣ってすることを謙遜していう。 《広辞苑》
ちなみに西施(せいし)は春秋時代の越の美女。
越王勾践が呉に敗れて後、呉王夫差の許に献ぜられ、夫差は西施の色に溺れ
て国を傾けるに至ったといわれるほどの美女です。
広辞苑は「人は気味悪がって門を閉ざした」とだけ書いていますが、元の話
には、
「村の金持ちは堅く門を閉じて外に出ず、貧乏人は妻子を連れて村を逃
げ出した」
と書いています。
顰みにならったことのどこがいけないのかといえば、それは眉を顰めれば美
しく見えるのだと短絡してしまったこと。顰めたのが傾国の美女西施であっ
たから美しく見えたのだということを忘れて、ただその所作を真似ればよい
と誤解してしまったことです。
そのため、うわべだけ真似ることの愚かさを表す言葉として使われます。
とはいいながら、人を真似ることが何から何まで悪いわけではありません。
尊敬する人物の立派な行いを自分も真似てみるなどは、悪いことではありま
せんね。真似で終わってはそれまでのことですが、始めは真似であっても、
それがやがて本物に変わることも有りますから。ただあまり立派な人の真似
をすると、「私ごときが」と気恥ずかしくなってしまうもの。そんなときに
は、顰みにならうの二番目の意味、「他人に見倣ってすることを謙遜してい
う」として使います。
ちなみに、呉王夫差と越王勾践といえば臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の故
事の元になった二人。西施は越随一の美女として有名で、夫差を堕落させる
目的で呉に送り込まれたのだといわれています。
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