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【五月闇】(さつき やみ)
 1.名詞。さみだれの降る頃の夜が暗いこと。また、そのくらやみ。夏の季語。
 2.枕詞。暗いところから、「くら」にかかる。
   《広辞苑・第五版 抜粋》

 実はこの広辞苑の説明を読んで、一瞬青くなりました。
 なぜかというと、私はこの言葉を梅雨空のしたの暗い様と理解していたので、
 昼の暗さにもこの言葉を使うことがあったからです。夜だけなんですか?

 慌てて他の辞書も引いてみました。学研国語大辞典は広辞苑と同じく梅雨の
 夜の暗さとなっています。旗色が悪いですね。
 さらに調べてみるとようやく

【五月闇】(さつき やみ)
 五月闇の空。
 梅雨のころの夜の暗いこと。また、そのころの薄暗い空模様。
  《角川類語国語辞典》

 連歌書「産衣」に、「五月闇は夜分にあらず」と示されているとおり、本来
 は、昼なお暗き空間を指す言葉であったが、最近では雲の垂れこめた夜の闇
 の陰鬱さにも用いられつつある。
  《三省堂おしゃれ季語辞典、抜粋》

 という記述に行き当たり、ようやくほっと胸をなで下ろしました。
 昼に使っても間違いではなさそうです。

 梅雨の頃は見上げる空はいつもどんよりと雨雲に覆われてしまっていて、日
 が昇っても日出前の薄明の薄明かりが続いているかのような仄暗さ。
 私はこの言葉を、梅雨時期のこうした仄暗さを指す言葉として使っていまし
 たから、今回あらためて辞書を引いて、夜も使うんだと知った次第。
 いい勉強になりました。

◇突然ですが、「隅掘り隊報告・特別編」
 拙著、「暮らしに生かす旧暦ノート」のP172に五月闇という言葉が出てきま
 すが、実はここに原稿の間違いがあります。隅掘り隊報告風に書けば、

  > 雨の降り続く【五月、闇】の中で
  →雨の降り続く【五月闇】の中で
 
 です。プロの校正者の目もすり抜けてしまいましたね。その点毎日必ずと言
 って良いほど、間違いを見つけてくれる優秀な隅掘り隊を抱える日刊☆こよ
 みのページは幸せですね。

 最後に、「暮らしに生かす旧暦ノート」ですが、まだ売られています。
 興味のある方は、http://astore.amazon.co.jp/koyomi8mb-22 をご覧下さい。
 何のことはない、体よく自分の書いた本の宣伝でした。失礼しました。

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