日刊☆こよみのページ スクラップブック
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【案山子】(かかし)
(カガシとも。「嗅がし」の意か)
1.獣肉などを焼いて串に貫き、田畑に刺し、その臭をかがせて鳥獣を退散さ
せたもの。焼串(やいぐし)。焼釣(やいづり)。
2.竹や藁わらなどで人の形を造り、田畑に立てて、鳥獣が寄るのをおどし防
ぐもの。とりおどし。秋の季語。
日葡辞書「カガシ」
3.みかけばかりもっともらしくて役に立たない人。みかけだおし。
《広辞苑・第五版》
「かかし」には別に「鹿驚」と書く場合もあります。
「案山子」と書いて「そうず」と読むこともあります。「そうず」について
はまた何れ取り上げたい言葉ですが、ここでは「かかし」です。
これを書いているのはお盆(月遅れの)が終わったばかりの日ですが、私の
住む場所のあたりでは既に稲刈りが始まっています。稲刈りの済んだばかり
の田んぼには、昨日までたわわに実った穂をたれる稲を守っていた案山子が
一人ぽつねんと取り残されています。
このあたりの案山子は人の形をして、今時のちょっと派手な服装をしたもの
から、ペットボトルを使って作った風車や烏の死骸をつるしたものまでいろ
いろのタイプがあります。
鳥の死骸は古式ゆかしい(?)方式で、ペットボトルは現代風の鹿驚。そこ
に人形型のカカシが加って見本市のようです。
いろいろなタイプの案山子がありますが、私にとって案山子といえば人の形
をした案山子です。
稲刈りの済んだ田んぼの畦を歩いていると、刈り取られた稲の株と黒い土だ
けとなった田んぼの中に残された案山子が、様変わりしてしまった足下の田
んぼを見下ろしていました。
刈り取られたとは言っても、稲は田んぼの端に稲架(はさ)に干されて残っ
ています。稲の安全を見張る仕事はまだ終わっていないと、ヤンキースの帽
子を斜にかぶった案山子の季節はまだ続いています。
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