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【稲架】(はさ)
 (新潟・富山・福井・岐阜などで) 稲掛。稲架とうか。はざ。秋の季語
  《広辞苑・第五版》

 【稲架】(はざ、いねかけ)
 (農学・農林・農業)刈り取った稲の穂をかけて乾かすために木などを組んだ
 もの。はさ、はぜ、稲掛(いなか)け。
  《学研国語大辞典》

 私の住む紀伊半島の南端にほど近い地域では既に稲刈りが行われています。
 稲刈りが済むと刈り取られた稲は束にされ、田んぼの畦に沿うように組まれ
 た木の稲架に架けられ天日干しされます。

 この稲を干すための木組みを稲架(はさ、はざ、はぜ)などと呼びます。
 呼び名はその地方地方で少しずつ異なります。私の生まれ育った福島県の中
 央部では「はせ」と呼んでいたような記憶があります。

 稲刈りが終わり、稲架での天日干しが終わっても稲架はしばらく田んぼの中
 に残されているので、子供達にとっては身近な鉄棒代わり、平均台代わりと
 なって、いい遊び道具でした。

 この稲架ですが、地方によって幾つかのタイプがあるようです。
 私の生まれ故郷や現在住む和歌山では木や竹で組まれた高さ1m強の高さの一
 段組のもの。これがスタンダードな稲架の形でしょうか。最近では田んぼが
 道路に接するところも多く、そうしたところでは稲架を組まずにちゃっかり
 とガードレールに干している場面も目にします。

 以前住んだ京都の舞鶴では、高さ4〜5m はあろうかという高い稲架がありま
 した。こちらは一段ではなくて、4〜5段もあって、稲を架けたあとは巨大な
 屏風が生まれたようでした。

 また、今では少なくなってしまったようですが新潟では田んぼの畦に一列に
 並べてハンノキなどを植え、育った木の下枝を払ってこれに横木を渡して稲
 架とする「はざ木」の立ち並ぶ風景があります。

 稲架が組まれると秋を感じ、稲架が取り払われると秋の終わりを感じたもの
 ですがそうした秋を感じさせる存在であった稲架の姿は徐々に減り始めてい
 ます。また、稲架の姿以上に稲架で遊ぶこともの姿も減りました。
 少しずつ、秋の風景も変わってきているようです。

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