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【久敬】(きゅうけい)
 ”久敬”という熟語がある。
 これは『論語』の「晏平仲善く人と交はる。久しうして人これを敬す」から
 来たものだが、善交さえ少ない人の世に、交際久しければ久しいほど畏敬さ
 れるということはなかなか出来ない。晏平仲(斉の晏子)は余程偉い人物と
 思われる。
   《照心語録(安岡正篤語録)より》

◇「久而人敬之」と「久而敬之」
 出典は論語、公冶長篇に見える「晏平仲。善與人交。久而人敬之」。
 「久而人敬之」の箇所は通常は「久而敬之」とありますが、これだと晏平仲
 は付き合いが長い友人にも敬意を払うことを忘れなかった言う意味になって
 しまいます。もちろん付き合いの長い友人に対して敬意を払うことを忘れな
 い、それも一国の宰相が、というのはそれはそれで立派なことですが、今ひ
 とつ言葉の意味に深みが感じられません。

 これに対してこの箇所を「久而人敬之」と伝える本もあって、私はこの言葉
 をこの「人」の入る言葉(を解説した本)でこの言葉を憶えたので、今回は
 自分の記憶に従って、尊敬の念を抱いた者を晏平仲と交際した人と考えてこ
 の言葉を紹介しました。

 残念ながら、いつも利用している広辞苑や学研の日本語大辞典には「久敬」
 という熟語は出てきませんでした。使う機会も無いほど、「久敬」というこ
 とはまれにしか無いことなのかも知れませんね。

◇晏平仲(あんぺいちゅう)という人について
 晏平仲(晏嬰)は、「晏子」と尊称される中国春秋時代の斉の名宰相です。
 孔子より少し前の時代に生きた人物です。

  【晏子の御】(あんしの ぎょ)や【羊頭狗肉】(ようとうくにく)

 の故事で知られる人物です。
 身長がとても低く、初対面の相手には「子供が使いに来たのか」と馬鹿にさ
 れることがあったほどですが、小さなその身体で斉の社稷(国家)の臣とし
 てこれを支えた春秋時代屈指の名宰相です。

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