日刊☆こよみのページ スクラップブック
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【知を処すること則ち難きなり】
非知之難也、処知則難也 《韓非子・説難篇》
知の難(かた)きに非ず、知を処すること則(すなわ)ち難きなり
「物事を判別し理解することが難しいのではない。
理解した事実をどう処理して行くかが難しいのだ。」
世の中には、おかしなことが多々あります。
おかしなところはすぐに解るので、「それなら直せばいいじゃないか」と、
そうしない「世の中」を若い(幼い)頃は不思議に思ったものでした。
人と人とが殺し合う戦争はよくない。戦争なんて無くすべきだ。
ということは、それこそ小学生でも判ることです。にもかかわらずそんな判
りきったことが実現され、この世界から戦争が無くなったことはありません。
どんなによいことでも、それを実現する過程では何かを犠牲にしたり、何か
を切り捨てたりしなければならないことが出てきてしまいます。
理解した事実を処理していくためには、そうした犠牲や切り捨てられるもの
までを理解した上で、それを引き受けなければなりません。
最初に「物事を理解した」つもりになったときには、そうした周辺の事柄に
までは考えがおよばず、「その問題の解決は簡単だ」と思いがちです。
「その問題の解決は簡単だ」と思った事柄を現実に処理するための知恵をも
つことこそ難しい、その現実に幾たびも直面したであろう韓非子の言葉でし
た。
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