こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【夏草】(なつくさ)
 夏に生い繁る草。夏の季語。
 万葉集10「夏草の刈り払へども生ひしく如し」。
 奥の細道「夏草や兵つわものどもが夢の跡」。
  《広辞苑・第五版》

 ついさっきまで白雨が降っていたのに、その雲が去るとたちまち強烈な陽射
 し。さっきまでの雨で濡れた地面から湯気が立ちそうな勢いです。
 私たちにしてみると強い雨も陽射しも辟易してしまうやっかいなものですが、
 草たちにとってはどちらも歓迎すべきものなのでしょうか。

 たっぷりの雨とたっぷりの陽射しを得て、夏草が生い茂っています。
 今年の春、草刈りした空き地は 3ヶ月経って今や一面、夏草に覆われていて
 足を踏み入れることも難しい有様。
 人間の手が入らないとたった 3ヶ月でこんな姿に。
 夏は草にとっては「この世の春」のようです。

  もしこの瞬間に人間が消えてしまったらどうなるだろう

 私は時折、こんなことを考えることがあります。
 街は、ビルは、道路は、トンネルはどうなってしまうのだろうかと。
  3ヶ月で空き地を埋め尽くした夏草の勢いを考えると、夏草の間に夢の跡を
 たどることの出来る歳月は案外に短いかも知れません。

 幸いに、まだ人間はこの地上にあってそれぞれに夢を見ています。
 私ももう少し夢を見続けるつもりです。
 勢いよく伸び続ける夏草に夢を覆い尽くされないために、まずはあの空き地
 の草刈りをするべきか・・・と私の場合見続ける夢は大分小粒です。

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