こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
【桂花】(けいか・かつらばな)
 「桂」は中国では芳香のある常緑樹全般を指す文字だそうです。
 「桂花」は丹桂(金木犀)、金桂(薄黄木犀)、銀桂(銀木犀)などモクセ
 イ属全般の花を指す言葉だそうですが、日本では一般に金木犀を指す言葉と
 されているようです。

◇九里香と七里香
 金木犀は銀木犀の変種で江戸時代に中国から渡来した植物です。
 庭木として植えられることの多い木で、日本では本家(?)の銀木犀を圧倒
 しています。

 金木犀も銀木犀もまずその放つ芳香によって花が咲き出したことに気付く花
 です。この香りの強さから金木犀は九里香、銀木犀は七里香の別名がありま
 す。九里と七里の差が示すように金木犀は銀木犀よりも香りが強く、ひょっ
 として、現在の日本で金木犀が銀木犀を圧倒しているのもこの九里と七里の
 差のためなのかも知れません。

 中国渡来の木とは云いますが、木犀の香りに気が付くと秋が深まったなと感
 じるほど、今では日本の秋には無くてはならない香りとなっています。
 旧暦の八月の別名に「桂秋」というものがありますが、これは木犀の香る月
 という意味なのでしょう。

 余談ですが、銀木犀の別名、七里香は早春に咲く沈丁花の別名でもあります。
 春と秋の七里香、花の違いと季節の違いはあっても、どちらも季節を知らせ
 る香りです。
 (参考 → http://koyomi8.com/doc/mlko/200903040.htm )

◇二度咲く花
 モクセイ属は不思議な木で開花の時期が二度あるものがあります。
 一度花が咲いて散ったと思ったら、しばらく間を置いてまた花が咲き出すこ
 とがあります。

 暦とは縁の深い三嶋大社には樹齢1200年と云われる薄黄木犀の大木がありま
 す。以前三嶋大社に詣でたとき、木犀の花の時期としては少々遅い時期であ
 ったのでその花の香りはあきらめていたのですが、偶然この不思議な二度目
 の開花の時期に行き当たり、咽せるほどの香りの中で、金木犀よりやや色の
 薄いその花を眺めたことがありました。

 忙しさに紛れて、木犀の花の放つ秋の香りを感じ損なうことがあったとして
 も、チャンスはもう一度あるかもしれません。

こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック