日刊☆こよみのページ スクラップブック
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【神の旅】(かみのたび)
旧暦10月、神々が出雲大社に集まるために旅立つということ。冬の季語。
《広辞苑・第五版》
間もなく今年も旧暦の十月、神無月となります。
時折冷たい風が落ち葉を払うこの季節になると、神様達もそわそわと旅立ち
の準備を始めます。旅の目的地は出雲です。
神様方が出雲に集まるのは人間達の縁結びの相談のためだと言われます。
神代の昔ならいざ知らず、現代では人間の方が進んでいるようで、昔ながら
に集まって相談をする神様方とは違って、人間達は結婚相手に望む条件を並
べてインターネットで検索・・・。
神様達もちょっとは現代のテクノロジーを取り入れてみる必要があるのでは。
でも考えてみれば、神様方は神無月以外でも人間達の勝手な願いを沢山聞か
せられているはずで、その中には結婚活動(今風に云えば「婚活」)中の方
々からの
理想の相手と巡り合わせて
なんていう願いも有るはず。神無月だけ特別というのは何か変です。もしか
したら、普段は全国各地に散らばって、身勝手な人間達の願いを聞かなけれ
ばならない神様達が、出雲に集まって息抜きしているのかも。
「聞いてくれよ、この間頼まれた願いなんかとんでもなかったぞ。」
「いやいや、私が聞いた願いの方が絶対にすごいって。」
なんて具合に、一年の愚痴をこぼし合っているのかもしれません。
また出雲へ集まる神様の話とは別に、旧暦の十月は田の神様が、山に帰って
行く月だとも言われます。
春に山から下りて田圃で稲の生長を見守り、収穫を見届けて半年ぶりに故郷
の山に田の神様が帰る月と考えられたのでした。こちらの話しだと、出稼ぎ
の仕事を終えて家に帰るような感じですね。半年ぶりに山に帰るのなら、こ
ちらの神様にとっても待ち遠しい季節のはずです。
出雲の国に集まるにしても、山に帰るにしても旅立つ神様のどちらも足は軽
そう。
この季節、初冬の空を見上げたら、ウキウキとして急ぎ足で行き過ぎる神様
の姿が垣間見えるかも知れませんね。
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