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【白詰草】(しろつめくさ)
 マメ科の多年草。ヨーロッパ原産。葉柄は長く、葉は倒卵形の 3個の小葉か
 ら成る。夏に長軸を出し、白色の蝶形花を多数球状に集めてつける。緑肥・
 牧草用。クローバー。オランダゲンゲ。ツメクサ。
   《広辞苑・第五版》

 読者の方々の中には春にシロツメクサで花の冠を作ったという思い出をもっ
 ている方も多いのでは。私もそうした記憶を持つ者の一人です。
 ひょっとしたら、

  今年も作りましたよ

 なんて方もいらっしゃるかも。
 花の冠の記憶は無くとも、幸運を呼ぶという四つ葉探しくらいはしたことが
 どなたにでもきっとあるはず。
 シロツメクサは、それくらい何処ででも見かける植物です。

 この何処でも見かけるシロツメクサですが、この「シロツメクサ」という名
 は少々古風な感じがしませんか。今はシロツメクサと呼ぶよりクローバーと
 呼んだ方が通りがよいかも知れません。いえ、ひょっとしたらシロツメクサ
 と言ってもそれがクローバーのことだと分からない人もいるかも知れません。

 さらに「シロツメクサ」は「白詰草」と書かれると云うことまで思い浮かぶ
 方となるとグッとその数が減ることでしょう。それにしても花の色が白いで
 すから「白」は分かりますが何でまた「詰草」なのでしょう。
 この「白詰草」の文字には、この草の来歴が関係しています。

 今では何処にでも見かける白詰草ですが、元々は日本には無かった植物でし
 た。渡って来たのは江戸時代だと考えられています。

 ヨーロッパから日本にガラス製品を輸入した際にその梱包材として詰められ
 ていたのがこの白詰草を乾燥させたものだったそうです。
 輸入製品の詰め物として使われたので「詰め草」。そして花の色が白いとこ
 ろから「白詰草」と呼ばれるようになりました。

 ガラス器の詰め物として海を渡ってきた埋め草の種がこぼれて、芽を出し、
 それが広がったのがこの白詰草だったのです。
 ひょんなことから日本に帰化した白詰草が、今ではすっかり日本の春の風物
 となって、花の冠になり、四つ葉探しの対象となっています。

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