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【花王】(かおう)
1.花の中の最もすぐれたもの。
2.牡丹ぼたんの異称。
《広辞苑・第五版》
引き続き「牡丹」を引くと
【牡丹】ぼ‐たん
1.ボタン科の落葉低木。中国原産。中国で花王と称する。
観賞用・薬用に古くから栽培。高さ 1メートル余。葉は羽状複葉。
4〜5月頃、直径20センチメートルもある美花を開く。園芸品種が多く、
色は紅・紫・白・淡紅など。根皮は生薬の牡丹皮で、頭痛・腰痛・婦人
病などの治療に用いる。二十日草。深見草。名取草。山橘。
夏の季語。〈色葉字類抄〉
2.ぼうたん。
3.紋所の名。牡丹の花や葉にかたどる。また文様としても用いられる。
牡丹唐草・牡丹唐獅子など。
4.猪いのししの肉の隠語。
《広辞苑・第五版》
◇花王の伝説
その昔、権勢を恣にした唐の則天武后(そくてんぶこう、在位AD690〜705)
が雪見の宴の最中、一面の雪の原の眺めに飽きて庭の花々に
直ちに咲け
と命じたところ、雪の中に次々と花が咲き出した。ただ、百花の王と呼ばれ
る牡丹だけはこの命に従わなかったため、怒った則天武后は牡丹を火攻めに
し、それでも怒りが収まらずに牡丹を洛陽(らくよう、唐の時代には副首都
とも云える都市)に追放してしまいました。洛陽が牡丹の名所となったのは
こういう事情なのだと云う伝説です。
◇探花(たんか)
中国の高級文官試験として有名な科挙。中でも最難関の進士科合格者は高級
官僚の道が約束された存在。それだけに競争は激烈で
五十歳で合格すれば若い方
と云われるほどの難関でした。
さて、この進士試験に合格した者を祝う宴(探花宴と云います)の中では、
余興の一つとして合格者の一人に、牡丹の花を探し出してきて披露する探花
使という任務を皇帝から与えられるようになりました。
この任務には当初はその年の最年少合格者がついていましたがやがてその年
の第三位合格者が命じられることが通例となり、以後進士科の第三位合格者
のことを「探花」と呼ぶようになりました(ちなみに一位は状元、二位は榜
眼。探花を含めた三人を「三魁」と称します)。
5月の始めといえば、牡丹の咲く季節。
皇帝からの命はありませんが、暖かい 5月の陽射しの下で私設の「探花使」
なって、花の王を探しに出かけてみませんか。
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