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【枯野】(かれの)
 1.草木の枯れ果てた野。枯野原。からの。冬の季語。
  笈日記「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」
 2.襲かさねの色目。表は黄、裏は薄青または白。
   《広辞苑 第六版》

 旅に病んで・・・、芭蕉の句を読むと寒々とした灰色の光景が浮かぶのです
 が、「枯野」という言葉だけだと浮かぶ光景は違って来ます。
 暖かな日だまりの眺めが浮かぶのです。芭蕉の句では灰色に思えた野原の色
 も、一変して枯草色に。
 枯野だからその色が枯草色なのはあたりまえなのですが。

 冬の野原一面をなんだか暖かそうな枯れ草が覆う様を眺めるのが大好きで、
 時々これをします。
 「枯野」を含んだ言葉の中には「枯野見」という言葉があります(残念なが
 ら広辞苑では採り上げられていませんでした)。冬の暖かい日に郊外の枯野
 を見に行くことを表す言葉だそうです。私と同じ好みを持つ人が昔から少な
 からずいたようです。

 幸い私の家は郊外(「田舎」というべきか)に有るため、周囲には沢山の枯
 野が有ります。わざわざどこかに出かけなくとも「枯野見」が出来る幸せな
 環境です。

 もし私が生涯の最後の瞬間に枯野の眺めを思い出浮かべたとしても、それは
 芭蕉がその生涯の最後に思い浮かべた枯野とは趣が大分異なることでしょう。
 皆さんにとっての「枯野」は寒々としたものなのか、暖かなものなのかそれ
 ともまた別のものなのか。
 確かめるために一度「枯野見」をしてみませんか?


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