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【昴】(すばる)
 (一つにまとまる意の「統すばる」から)
 牡牛座(おうしざ)にある散開星団。プレアデス星団。二十八宿の一つで漢
 名、昴宿(ぼうしゅく)。肉眼では、普通、 6個の星が見えるので、六連星
 (むつらぼし)ともいった。
 すまる。ぼう。すばるぼし。枕草子 254「星はすばる」。
   《広辞苑・第六版》

 「すばる」は「スバル」と書かれることも多いので、外来語のように誤解さ
 れることがありますが、正真正銘の和語です。
 冬の夜空を見上げるとオリオン座やおおいぬ座といった冬の代表的な星座達
 を従えるように頭上に輝く昴を見つけることが出来ます。

 昴は古事記では「美須麻流之珠(みすまるのたま)」とたたえられた星です。
 「みすまる」は「御統」。多くの珠を緒に貫いて輪にし、首や腕を飾ったも
 のです。昴は星が一カ所に統べ括られたように見えることから、その姿を御
 統に喩えてそう呼んだものだと思います。
 プレアデス星団とか M45という名前もあります。

 昴は肉眼で見ると4〜7個程度の星の集まりに見えますが、実際には百数十の
 星が集まった散開星団と呼ばれる種類の天体です。
 小型の双眼鏡でもあれば、昴の中に数十個の星を見ることができる天体で、
 地球からの距離は約 400光年。現在私たちの目に届いた光は、今から 400年
 前にこの星を旅立ったものです。

 昴を構成する個々の星達の現在の年齢は数千万〜 1億歳ほど。
 随分な年齢のようにも思えますが、私たちの太陽の年齢がおよそ50億歳だと
 考えれば、まだ生まれたばかりの星達ということが出来ます。

 空の暗い場所で双眼鏡で昴を見ると輝く星の周辺に微かにですが靄(もや)
 のような光が見えます。その靄は昴を構成する星の光が周辺の星間ガスを照
 らし出すことによって見えるものです。
 微かに光る靄は、生まれて間もない昴の星々をくるむ綿のよう。

 冬の夜は寒くて辛いですが、ちょっと我慢して綿にくるまれた生まれたばか
 りの星々を眺めてみるのは如何でしょうか。

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