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【稲積む】(いねつむ)
 (古く正月に用いた忌詞)寝る。←→稲挙ぐ(いねあぐ)
  《広辞苑・第六版》

 大晦日の晩は、家族でそろって寝むらずに夜明けを待つという行事があり、
 これを「年守る(としまもる)」とか、「守歳」とかいいます。

 大晦日の夜は産土神を祀る神社に籠もり、一晩中起きて年神を迎えるのが本
 来の姿であったと暦のこぼれ話の「除夜と大晦日」でも説明したところです
 が、「年守る」はこの新旧の年神交代の神事がその根元にありそうです。

 このように大晦日は一晩中起きていなければいけない夜でしたから「寝る」
 は使ってはならない言葉、忌詞(いみことば)だったのです。

 とはいいながら、そうはいってもどうしても眠くなってしまう場合もあるで
 しょう。特に小さな子供には起きていろといってもそれは無理な相談。そん
 なときに使う言葉が、「稲積む」とか「稲を積む」という言葉です。
 大晦日の夜に眠くてどうしようもなくなった場合には「寝る」に代えて

   「稲(いね=寝ね)積む」

 という言葉を使ってください。
 年神様に寝てしまっていることを気取られないように。
 なお、稲積みから目覚めた時用の言葉もあります。
 「稲挙ぐ(いねあぐ)」という言葉がそれ。寝たわけじゃないので、起きる
 わけにもいきません。稲を積んだのだから次はは稲を挙げるというわけです。

 今日は大晦日。
 さて皆さんのお宅では何人が起きて夜明けを迎え、何人が稲積むことになる
 でしょうか?

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