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【沈丁花】(じんちょうげ)
 ジンチョウゲ科の常緑低木。中国原産。高さ約1メートル。葉は無柄革質
 で楕円状披針形、斑(ふ)入りもある。春分前後に15,6花を球形に配
 列して開く。花は管状、内面は白色、外面は紫赤色または白色。香気が強
 く沈香・丁字に似るとしてこの名。通常は雄木で果実を結ばない。
 漢名、瑞香。輪丁花。春の季語。
  《広辞苑・第六版》

 早春の夕暮れ時、急ぎ足で抜けた路地。
 ふと足を止めて振り返りました。

  何だったかな

 通り過ぎた路地で、何かの香りを感じました。
 何の香りだったか

 その芳香であたりを包むことで七里香、九里香の別名を持つ花があります。
 前者は早春に咲く沈丁花。後者は秋に花をつける金木犀です。

 沈丁花は庭木などとしてよく植えられる低木です。
 どうやら急ぎ足で抜けた路地の左右どちらかの家の庭に、沈丁花が植えられ
 ていたようです。

 沈丁花は元々中国の中部から南部、ヒマラヤにかけて生えていた木で、日本
 への渡来は室町時代とか。
 雌雄異株で、その実は赤いそうなのですが、植えられている株はそのほとん
 どが雄株だそうで、そのためにこの「赤い実」を目にすることは希。

 きっと今通り過ぎてきた路地脇の家の庭で芳香を放っていたのも、そうした
 実を付けることのない雄株の沈丁花だったのでしょうか。
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