日刊☆こよみのページ スクラップブック
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【高灯籠】(たかとうろう)
1.#石灯籠の一形式。
台石を幾層もピラミッド形に重ねて高くしたもの。
2.新盆の家の前に、高い竿の先につけてともす灯籠。
東北地方では、竿の先に青葉の枝などをつけるところもある。
3.一般に、盆の精霊を迎えるために立てる高い灯籠。秋の季語。
《広辞苑・第六版》
太陽に照らされた入道雲がまぶしい午後、ぶらぶらと近所を散歩していると、
一軒の家の前に、一本の竿が立っていました。竿の上には木の板を三角に組
まれ、その先端に杉の枝を挿されていました。
三角に組まれた木の板の下辺りには、灯籠がつり下げられていました。
高灯籠です。この家は今年が新盆であったようです。
高灯籠は自分の子や孫の住む家に帰る、盆を初めて迎える新米の祖霊が迷わ
ずに帰ることが出来るようにと、遠くからでも見える目印として立てられた
ものです。
灯籠は、紐と小さな滑車を組み合わせてつり下げられています。
紐をゆるめて灯籠を下ろし、灯をともした後に、紐を引いて灯籠を高い場所
に引き上げる仕組みです。
新米の祖霊は子や孫の下に、子や孫が立てた高灯籠を目印に帰ってきて、盆
が終われば、高灯籠の灯に照らされた道をとおって、祖霊のあるべき場所に
戻って行きます。
月遅れのお盆の週が終わり、今日からは新しい週に入りました。
盆の行事も一段落し、普段の生活が戻ってきています。
立てられたときには、青々としていたはずの竿の先の杉の葉もすっかり枯れ
てしまっていました。
それでも、行きに半月、帰りに半月を要するご先祖様の旅はまだ続きます。
竿の先の杉の葉は枯れても、この家の高灯籠の役目はまだ終わりではありま
せん。あと十日と少し。
高灯籠がその役割を果たし終えて、この家の前から姿を消す頃には、空に浮
かぶ雲も入道雲とは違ったものに変わっていることでしょう。
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