こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
 【高灯籠】(たかとうろう)
 1.#石灯籠の一形式。
  台石を幾層もピラミッド形に重ねて高くしたもの。
 2.新盆の家の前に、高い竿の先につけてともす灯籠。
  東北地方では、竿の先に青葉の枝などをつけるところもある。
 3.一般に、盆の精霊を迎えるために立てる高い灯籠。秋の季語。
   《広辞苑・第六版》

 太陽に照らされた入道雲がまぶしい午後、ぶらぶらと近所を散歩していると、
 一軒の家の前に、一本の竿が立っていました。竿の上には木の板を三角に組
 まれ、その先端に杉の枝を挿されていました。
 三角に組まれた木の板の下辺りには、灯籠がつり下げられていました。
 高灯籠です。この家は今年が新盆であったようです。

 高灯籠は自分の子や孫の住む家に帰る、盆を初めて迎える新米の祖霊が迷わ
 ずに帰ることが出来るようにと、遠くからでも見える目印として立てられた
 ものです。

 灯籠は、紐と小さな滑車を組み合わせてつり下げられています。
 紐をゆるめて灯籠を下ろし、灯をともした後に、紐を引いて灯籠を高い場所
 に引き上げる仕組みです。

 新米の祖霊は子や孫の下に、子や孫が立てた高灯籠を目印に帰ってきて、盆
 が終われば、高灯籠の灯に照らされた道をとおって、祖霊のあるべき場所に
 戻って行きます。

 月遅れのお盆の週が終わり、今日からは新しい週に入りました。
 盆の行事も一段落し、普段の生活が戻ってきています。
 立てられたときには、青々としていたはずの竿の先の杉の葉もすっかり枯れ
 てしまっていました。

 それでも、行きに半月、帰りに半月を要するご先祖様の旅はまだ続きます。
 竿の先の杉の葉は枯れても、この家の高灯籠の役目はまだ終わりではありま
 せん。あと十日と少し。

 高灯籠がその役割を果たし終えて、この家の前から姿を消す頃には、空に浮
 かぶ雲も入道雲とは違ったものに変わっていることでしょう。

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