日刊☆こよみのページ スクラップブック
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【片腹痛い】 (かたはら いたい)
[形]かたはらいた・し(ク)
(「傍」のカタハラを片腹の意に誤ったことから起こった語)
身のほど知らずな相手の態度を笑いとばす意。
笑止である。ちゃんちゃらおかしい。
日葡辞書「カタハライタイ」。
浄瑠璃、出世景清「腕無しのふりづんばい、―・し、事をかし」
→かたわらいたい
《広辞苑・第六版》
2〜3年前くらい前のこと、辞書を引いていて「片腹痛い」の文字がとびこん
できました。
目が留ったついでに、この言葉の意味を確認してみようと思い、読んでみて
、はじめて「傍ら痛い」という言葉があること、「片腹痛い」がこの「傍ら
痛い」の「傍ら」を「片腹」に取り違えたところから生まれた言葉であると
知りました。
今までの人生のうち、実に 90%以上の期間を私はこの「片腹痛い」の方だ
けしか知らなかったのでした。
そんな迂闊な者が「コトノハ」などとは、片腹痛い
そう笑われても仕方がない。
身の程知らずの相手を笑いとばし、それこそ脇腹が痛くなるほど笑うことな
のかななんて、そんな風にしか考えていませんでした。
脇腹が痛くなるほどの笑いは笑いすぎかも知れませんが、「片腹痛い」とい
う言葉であれば、この解釈でも間違いとはいえません。とはいえ、やはりは
ずかしいことには違いがありませんけれど。
元となった「傍ら痛い」は、気の毒であるとか、(相手の気持を慮って)傍
らにいて辛くなるという意味の言葉。「片腹痛い」とはまるでちがった意味
の言葉です。
わかっているつもりの言葉でも、たまには辞書でその意味を確かめてみるべ
きだなと、教えてくれた「片腹痛い」話でした。
しかし、「片腹痛い」ではなくて、その元になった「傍ら痛い」という言葉
を使ったとしたら、今じゃほとんどその意味が伝わらないかもと思うのです
が、どうでしょう?
間違いから生まれた片腹痛いの陰に隠れるようにして、忘れられてしまった
(と思う)傍ら痛いという言葉は気の毒ですね。「傍ら痛い」は、こんなと
きに使えばいいのかな?
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