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【辛夷】(こぶし)
 モクレン科の落葉高木。山野に自生、また観賞用に栽植。
 高さ約10メートル。早春、葉に先だって芳香ある白色6弁の大花を開く。
 果実は秋に熟し開裂、白糸で赤い種子を釣り下げる。
 材は緻密で器具・建築に、蕾は鎮静・鎮痛剤に、花は香水の原料に、樹皮・
 枝葉からはこぶし油をとる。ヤマアララギ。コブシハジカミ。
 (漢名「辛夷」は本来モクレンの称)。春の季語。〈類聚名義抄〉
   《広辞苑・第六版》

 辛夷は日本全土と朝鮮半島の南部に自生する木です。辛夷という漢字が当て
 られていますが、中国にはこの木は自生しないそうなので、「辛夷」の文字
 は、「こぶし」の仲間のモクレンを指すものだろうと考えられます。

 「こぶし」の名は、その蕾が赤子の握り拳に似ているところからつけられた
 といわれています。「こぶし」は漢字では辛夷。「辛」という文字が入りま
 す。辛夷の実に山椒のような辛みがあるそうです。本当に辛いのかどうか、
 いつか見つけてみたら試してみたいと思います。ただこの部分は「有毒」と
 いうことなので、試す前にその毒がどの程度のものか、まずは確認する必要
 がありそうですが。

 辛夷の花は春の山でまだ雪が残る時期から咲き始めるので、北国では田を耕
 し始める時期を知らせる自然の暦の役割を果たしていて、「田打桜(たうち
 ざくら)」の異称をもっています。

 花からは香水の原料となりまた漢方薬ともなり、樹皮からは辛夷油が採れ、
 その材は硬くて建材ともなるという人間にとっては大変役立つ木です。

 山の雪が融けて斜面を覆った白い色が消えた所を埋めるかのように咲く白い
 辛夷の花は北国の春を告げる花の一つです。

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