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■元年の暦
 「平成1年」なんて書くと細かな方には「平成元年」と訂正されてしまうこ
 とがあります。
 確かにそうですね、とは思いながらも元号表記などの多くをプログラムで自
 動的に変換する仕組みの多いこよみのページ(Web) では頭が痛いところです。
 
  2006年 ⇒ 平成 (2006 - 1989 + 1) 年 ⇒ 平成 1年

 と言う具合に計算していますから、計算後に「年数が 1年の場合は、元年と
 修正する」といった一手間かけなければならないからです。

 それに、プログラムをなさる方ならご存じと思いますが、多くのプログラム
 言語では、数字と文字とでは扱いが違うことが多く、普通は数字の表示され
 る場所に、「元」なんていう「文字」を表示しないといけない場合は、さら
 にもう一手間かかったりしてなおさら面倒。

 そういうわけなのでこよみのページ(Web) では出来る限りは「元年」として
 いますが、「 1年」なんて表示のままの場合も有ります。発見した場合は、
 笑って許してください。

 とさんざん言い訳した後でようやく本題。
 毎年、新年に向けて沢山のカレンダーや暦、運勢暦などの類が発行される時
 期となりました。今年だと、

  「平成19年」 あるいは 「2007年」 の暦

 が店頭に並んでいます。先程さんざん言い訳した話の元の「元年」の話から
 すると、1988年の年末には、

  「平成元年」  あるいは 「1989年」 の暦

 が並んでいたはずですね。
 と、ちょっと待ってください。これって本当?
 1988年の年末の情景としては、これは明らかに間違いですね。現実はどうか
 と言えば、

  「昭和64年」 あるいは 「1989年」 の暦

 が店頭に並んでいたはずです。なぜなら1989年は1月7日までは昭和64年だっ
 たからです。平成への改元は1月8日。年末の段階では翌年に改元があるかど
 うかは判りませんし、改元後の元号も不明ですから「平成元年」の暦は作れ
 ないわけです。

 改元後に何かの理由で遅く発行された暦やカレンダーが無いとは言えません
 が、そうした大変特殊なもの以外、「元年の暦」というのは有りません。

 因みに、平成の場合はその改元が1月8日という年の早い時期に行われました
 から、平成 2年の暦はきちんと作られましたが昭和の改元の際には更に大変。
 改元が12月25日で、昭和元年はわずかに 6日しかなく、すぐに昭和 2年とな
 ってしまいましたから、大正は16年までの暦があって、昭和は 2年までの暦
 が無いと言うことになります。

 昨今は更に2年後3年後の日付の入った手帳などもあり、そうなるとこの改元
 の問題はやっかいなものになります。それだからでしょうか、近頃は元号を
 入れない西暦のみのカレンダーや手帳が増えてきている気がします。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.std@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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