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■干支(かんし・えと)の話 ・・・ その1
「丙戌年九月辛亥」の日のこぼれ話は干支の話です。
冒頭の丙戌年九月辛亥は昔の歴史書風に書いてみた本日の日付。昔風にとい
うことで暦月には旧暦月日から「九月」としてみました。
干支の歴史は古く、中国の殷の時代には既に使われていました。亀の甲羅や
動物の骨に刻まれ出土したことから甲骨文字と呼ばれるようになった殷時代
の文字にはすでにこれが存在します。
ということで今回は干支の話。本日はまず読めそうで読めない干支の読み方
などの基本的なところから説明を始めます。
干支は年や日にちを示すのに使われることが多く、占いの本などにも必ず登
場しますが、これは数字を数えるのに使っているのであって、本来は占いと
は無関係で、「暦注」の仲間とはされないのが普通です。年や日の数え方と
しては干支紀年法とか、干支記日法とか言います。
干支があって、後から占いがこれを利用するようになったため、今では逆に
占いのために作られたのかのように誤解されるようになってしまったのです。
干支にとっては迷惑な話です。
占いの世界では干支を、天干地支(てんかんちし)などと呼ぶようですが、
その呼び名の通り、十干(じっかん)を先に書き十二支(じゅうにし)を後
に書きます。十干と十二支を組み合わせると、六十干支となりますが、単に
干支とも書きます。
◇十干
甲(こう・きのえ) ・乙(おつ・きのと) ・丙(へい・ひのえ)
丁(てい・ひのと) ・戊(ぼ・つちのえ) ・己(き・つちのと)
庚(こう・かのえ) ・辛(しん・かのと) ・壬(じん・みずのえ)
癸(き・みずのと)
の10種類。
「きのえ」は「木の兄」のことで、はじめの「木」は木火土金水の五行の中
の「木(き)」。「兄」は陰陽を表す「兄(え)」と「弟(と)」の「兄」。
ちなみにこの「兄弟(えと)」から、干支全体も「干支(えと)」と呼ぶよ
うになりました。
◇十二支
子(ね・し) ・丑(うし・ちゅう) ・寅(とら・いん)
卯(う・ぼう) ・辰(たつ・しん) ・巳(み・し)
午(うま・ご) ・未(ひつじ・び) ・申(さる・しん)
酉(とり・ゆう)・戌(いぬ・じゅつ) ・亥(い・がい)
の12種類。
今年は「戌年(いぬどし)」などでおなじみのもの。なじみの有る動物の名
前では呼ばれますが、十二支以外では「いぬ」を「戌」と書くようなことは
ない特殊な使い方です。
そのためか、昨今では
「今月の犬の日はいつですか」
なんて質問をしてくる人も出てきております。こういう場合は「今月の戌の
日のことですね?」と念押してから答えています。
◇組み合わせた場合の読み
干支を組み合わせて使った場合、
甲申 ・・・ 1.こうしん 2.きのえさる
のように読みます。ただ1の「こうしん」と読んだ場合「甲申」か「庚申」
か解らないことがありますので、2を使って補足することもあります。また
特殊な例として、甲子と書いて「こうし」を「かっし」と読む場合が有りま
す(というか、「かっし」が普通)。
という具合に読めそうで読めない干支の読みを説明しただけで結構長くなっ
てしまいましたので、本日はこの辺までにしましょう。続きはまた明日。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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