日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■日本のバレンダインデー
明日はバレンタインデー。チョコレート業界では年間売り上げの 1/4をこの
日の前後だけの売り上げてしまうと言う決戦の日。
義理チョコであろうが本命チョコであろうが、とにかくチョコレートがバカ
売れする時期であることは間違いありません。
◇聖バレンタイン・デー
バレンタインはValentinus(ヴァレンティヌス)の英語読み。
ヴァレンティヌスは紀元 3世紀に実在した人物で AD269年(頃)の2/14にロ
ーマ皇帝クラウディウスにより処刑されました。この2/14の殉教の日を聖バ
レンタインデーとされています。
ヴァレンティヌスは修道士時代に、悲しむ人々に一日一人ずつ聖書の愛の言
葉を書き送るという誓願を立て、生涯それを続けたといいます。彼が投獄さ
れた後も、牢獄の窓にやってくる鳩に、木の葉にしたためた愛の言葉を託し
て贈り続けたといわれる人物です。
また、同時代に同名の司祭が複数いて、それぞれの人物の伝説や説話が混同
されて、ヴァレンティヌス伝説になったともいわれています。
このヴァレンティヌスの伝説から、愛する人へ「愛の言葉を書き送る」行事
となり、その際にメッセージに添えてちょっとした贈り物を行う行事が、現
在のバレンタインデーの行事につながっていると思われます。
◇菓子メーカー陰謀説
その由来から考えると、「愛の言葉を贈る」のが主となる行事であり、贈り
物をするのも
女性から男性へ
という一方通行のものではありませんでした。メッセージに添えて送るもの
もチョコレートに限られたものではなかった。それが現在のように「女性か
ら男性へチョコレートを贈る日」になったのは菓子メーカーの商業戦略の成
果だとまことしやかにいわれています。
「バレンタインデーにはチョコレート」
のきっかけは昭和11年のモロゾフによる新聞広告であるとか、昭和33年にメ
リー・チョコレートが伊勢丹で行った、キャンペーンの結果だといわれてい
ますが、それぞれの年から急にチョコレートが売れ始めたわけでは無いこと
から、本当にそうなのかと言われると疑問の残るところですが、それ以外に
これといった目立った理由が見つからないので、今のところは
菓子メーカー陰謀説
が、バレンタインデーにはチョコレートという風習発生に関する定説となっ
ています。
◇日本のバレンタインデーはキリスト教の行事?
聖バレンタイン・デーがキリスト教の行事に発していることは間違いのない
ところですが、ヴァレンティヌスの事跡も知らないし、教会で特別なミサが
行われるわけでも無い現在の日本のバレンタインデーがキリスト教行事かと
いうと、それは疑問です。
どちらかというと、日本の贈答文化にあった手軽な「お歳暮・お中元」とい
う位置づけで行われているような気がします。
さて、こんな日本のバレンタインデー、殉教したヴァレンティヌス司祭は天
国でどう思って眺めているのでしょうか?
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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