日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■季節による三日月の傾き
3/21の春分の日には、夕方の西の空に三日月と金星が並んだ姿がありました。
なかなか見栄えのするものでしたので、これをごらんになった方は大勢いた
ようです。
さて、今回この様子を眺めた方ならそのときの欠け際の傾きの様子を覚えて
いると思います。欠け際の端と端を結んだ線が地平線と平行に近い角度に見
えたことと思います。三日月を「お椀」に見立てると、ちょうど上を向いて
いて水でもみそ汁でもたっぷり入りそうな姿でした。
「お椀」では気分がでないという方には、ゴンドラを思い浮かべて頂きまし
ょう。ゴンドラが水に浮かんだような姿でしたよね?
◇春は寝ていて、秋は立っている三日月
さて、3/21に見えた三日月は、月が沈む頃は欠け際を結んだ線がほぼ水平に
近い状態で、まるで三日月が寝転がっているような姿でした。
いつも三日月はこんなに怠けた姿かといえばそうではありません。
真面目に立っていることもあります。その時期は秋。秋の彼岸の頃です。
今回の寝ころんだ三日月は春の彼岸の三日月でした。これに対して立ってい
る三日月は秋の彼岸の頃です。彼岸の頃というヨリ、春分の日と秋分の日の
頃というべきかもしれません。
では間の夏や冬の月は〃かといえば、この春と秋の状態のちょうど中間くら
いです。
水に浮かんだゴンドラのような三日月を眺めたければ春の時期を狙いましょ
う。
◇有明の月の傾き
三日月の反対に明け方に見える細い有明の月。二十六夜月とか二十七夜月と
呼ばれる頃ですが、此方の傾きはどうなっているかというと、
有明の月は、春には立っていて、秋には寝ころんでいる
と三日月とは逆になっています。
明け方に見事なゴンドラのような月をみたいなら、秋がいいということです。
◇季節によって三日月の傾きが変わるのはなぜ?
この原因は主に太陽の通り道(月もほぼ太陽と同じ道を通ります)である黄
道と地球の赤道との傾きが原因です。
月の欠け際を結んだ線はほぼ黄道と直角になりますから、月のある場所の黄
道が地平線とどのような角度で交差しているかを計算すれば、月の傾きのお
よその状態が計算出来ます。
昔は三日月や二十六夜月(または二十七夜月)を拝む風習がありましたので、
こうした月の傾きまで求めてその傾きを示した暦まで作られていたことがあ
ります。
今と違って、月に対する関心が強かったから三日月の傾きのちがいまで気に
なったのでしょうか。
今は、なかなかそこまで気が付くことは無いですね。
月に興味のある皆さん、来月の三日月、再来月の三日月・・・と毎月の三日
月を眺めて、この傾きのちがいを実際に確かめてみてはいかがでしょうか。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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