日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■こどもの日
本日はこどもの日。連休も終盤です。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
こどもの日にあわせて、子供のために何かしてやっていますか?
我が家ではというと・・・。さ、我が家の話ではなくて、暦の上のこどもの
日の話をすることにしましょう。
◇「こどもの日」の日付
「こどもの日」の日付は端午の節供という昔から子供の成長を願うための節
供の日となっています。
端午の節供というと、男児の節供。飾り物としては鎧兜であるとか武者人形、
あるいは鯉のぼりといかにも「男児」の節供という感じの行事です。
女性からすると、「こどもの日」なのにあまりに「男の子の日」的では無い
かという批判も有るようです。
実はこどもの日の日付に関するこの議論は、昭和23年に現在の祝日法(正し
くは「国民の祝日に関する法律」)が公布されるまでにもさんざんなされた
ものだったのです。
◇こどもの日に関する議論
当時も「こどもの日」として、上巳の節供(雛祭り)と端午の節供はどちら
も候補にあがりました。誰が考えても古来から子供のための節供と考えられ
てきたこの二つが候補になるのはあたりまえだと思うほど、行事として一般
化したものだったのは間違い有りません。
問題は、だれもが子供のための行事と認める行事で有る一方で、まただれも
がそれぞれを「女児の行事」「男児の行事」と区別する行事でもあるという
こと。どちらかだけをこどもの日とすると、他方が軽んじられたような感じ
がしてまずいです。
どちらに決まっても「女の子、または男の子に偏する」と批判されるので、
この批判を回避するため考えられたのは、
1.全然別の日にこどもの日を設ける。
2.折衷した日付にする。
3.両方こどもの日にする。
ということ。 3に関しては、流石に真面目に考えられることはなかったよう
です(今なら、休日を増やすということで、議論の俎上に載せられたかもし
れませんが)。では、1,2 の考えでこどもの日がどんな風になったかという
と
A. 4/1とする。
B. 3/3と 5/5の月と日を混ぜて 5/3とする。
というもの。 4/1という日付ですが、子供のには大変関連の強い「学校」の
1年である学校年度の開始の日と言うことです。また子供を守るために作ら
れた「児童福祉法」の施行が昭和23年4月1日ということも、こどもの日とす
るのに相応しいと考えられたのです。
さらにといいますか、時期的にも 3/3と 5/5の中間の時期でもありますから、
女の子にも男の子にも偏しないというバランスのよい日と考えられます。
Bについては、いくらなんでもなという感じですね。会話に持ち出して周囲
の冷笑を浴びる「おやじギャグ」のような折衷案です。ところがどっこい、
このどうしようもないおやじギャグ的な 5/3があわや、こどもの日として採
用されそうになったのです。
考えてみれば、法律を作るのはみんな立派な、「おやじ様」たちですから、
国会の中ではこのおやじギャグが受け入れられたのかも?
◇急転直下
あわやおやじギャグ案、 5/3がこどもの日となりそうになりましたが、カレ
ンダーを見ると現在この日付の箇所には別の祝日の名前があります。
それは「憲法記念日」。
憲法記念日は、日本国憲法の施行日を記念した祝日ですから、これを他の日
にするのはどう考えてもおかしい。ということは、 5/3は憲法記念日で決ま
り。必ずしもこの日でなくてもよいこどもの日は、その席を譲らねばなりま
せんでした。
席を譲ってどこに座ろうかと見回したところ、すぐ近くに一応こどもの日の
「候補」になった日付がありました。それが 5/5。なんだかんだともめた後
に、ちゃっかり端午の節供の日付に座ってしまいました。
◇日本は子供の天国?
日付に関してはいろいろ問題(?)はありますが、「こどもの日」を祝日に
することに関しては異論は無かったようです。子供のための祝日など昭和23
年当時はどこの国にも無かったそうですから、日本が他に先駆けて作った祝
日ということになります。
それだけ日本は、子供という存在を大切にする伝統があったということで
しょうか。
そういえば、幕末から明治初期に日本を訪れた欧米人(すみません、誰だっ
たか忘れました)が、
「日本ほど、子供を大切にする国はない。
日本の子供達はみな幸福そうである。」
と記録しているのを読んだことがあります。「こどもの日」はそうした子ど
もを大切にする日本が生み出した祝日ということが出来そうです。
そんな昔の日本と、現在の日本の状況を比べながら、最後に祝日法の「こど
もの日」の条文を読んで、こどもの日についてもう一度考えてみましょう。
【国民の祝日に関する法律・こどもの日】
こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
日刊☆こよみのページ スクラップブック