日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■海底の地名となった暦月の名前
いつものこぼれ話は、暦や空(月や星)の話が多いのですが、今回は一転し
て海の中の話です。
◇海底地形と名前
昔は海の中というとノッペリした海底が延々と続いていると思われていまし
たが、海底の地形を正確に測る技術が生まれ(主に超音波を使います。最近
では、浅い海に関してはレーザー光線を使って飛行機から広い範囲の海の深
さを図る技術も登場しました。技術は日進月歩です)、調査が進むにつれて、
海の中も陸上同様に山もあれば谷もあることが判ってきました。
陸上の山や谷は目に見える者ですから、そのの名前は気が付いたらもう名前
が付いていたというくらい古くから既にありましたが、海の中の地形は精々
200 年くらい、大部分はここ50年以内に見つかったものですから、その名前
は現在名付けが始まったばかりというところです。
海底地形の名前は、慣例として近辺の地域的な名前(例:日本海溝・・・日
本近くの海溝の意味)と、その地形の発見者や発見した調査船の名前(例:
大和堆(やまとたい)・・・測量艦「大和」が発見)が付けられますが、中
にはこれとは違った面白い名前が付いた例もあります。
今回はそんな面白い例の中で「暦」と関係のありそうなものを拾ってみます。
◇暦と関係の深い海底地形
・七曜海山列
日本海溝に沿って続く小笠原諸島の線上に並んだ海山の列があり、「七曜海
山列」と呼ばれています。この海山列には次の海山が属しています。
日曜海山、月曜海山、火曜海山、水曜海山、木曜海山、金曜海山、土曜海山
・太陰暦海山群
九州の遙か南方にある海山群その名もズバリ、「太陰暦海山群」。
これに属する海山は12。
睦月海山、如月海山、弥生海山、卯月海山、皐月海山、水無月海山、
文月海山、葉月海山、長月海山、神無月海山、霜月海山、師走海山
・長寿海山群
こちらは太陰暦海山群のちょっと北側。九州との間にあるおめでたい名前の
海山群です。属する海山は 6。
還暦海山、古希海山、喜寿海山、傘寿海山、米寿海山、白寿海山
・春の七草海山群
こちらは太平洋の中にあります。属する海山は 7。
すずな海山、はこべ海山、ごぎょう海山、ほとけのざ海山、
すずしろ海山、なずな海山、せり海山
・秋の七草海山群
こちらも太平洋の中。春の七草海山群の北側にあります。属する海山は 7。
ふじばかま海山、くずはな海山、ききょう海山、おみえなし海山、
なでしこ海山、すすき海山、はぎ海山
◇その他にも
今回は採り上げていませんが、他にも面白いものがあります。例えば元号海
山列であるとか、七夕海山群であるとか。
一見冗談のようですが、海底地形の正式名称を決定する作業を行っている、
「 GEBCO(ジェブコ:大洋水深総図)事業」という事業の中で正式に採用さ
れた国際的に認められた地名です。
海を眺めている鯨の親子は、
今週末は、睦月海山から師走海山までの一周旅行でもするか?
秋になったら、秋の七草海山巡りもいいかも。
なんて話をしているかもしれませんね。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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