日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■芒種(ぼうしゅ)
今日は芒種。
芒種は二十四節気の一つ。五月節 。太陽視黄経 75 度となる日。
芒種の意味は、芒(のぎ、または「禾」)の穀物の種蒔きをする頃という意
味です。禾とは、先っぽに棘のようなものがある種。稲の籾などがこれにあ
たります。
また「五月節」ということで旧暦時代には農業の目安として使われていた節
切暦では五月に入ります。
◇節切りの五月
旧暦の暦では季節と暦日が一致しないことが多々ありました。そのため旧暦
の日付は農業を行う上ではあまり当てにならないものだったので、変わって
使われていたのが
節切りの暦
でした。どんな暦かというと、二十四節気の「節」から次の「節」の直前ま
でを一月と考える暦。いわゆる旧暦は月の満ち欠けで月を区切る太陰太陽暦
でしたが、節切りの暦は月の満ち欠けとは無関係に太陽の位置で決まる太陽
暦です。
二十四節気には「節」と「中」が交互に並んでいますが、芒種は五月節。次
の節は小暑ですので、小暑の前日までが節切りの 5月となります。この節切
り 5月は今年は新暦では 6/6〜7/6 。ちなみに旧暦の日付では「今年は」4/
21〜5/22です。
◇節月五月は「稲作」の月
五月は「サツキ」。サツキの「サ」は古代、稲を表す言葉だったといいます。
(田植えをする女性を「早乙女(さおとめ)」、田植えが済んだ後のお祭り
が「早上り(サノボリ)」と呼ばれるなど、今でも「サ」と「稲」が関連し
ていると思われる言葉が多数残っています。
サツキはつまり、稲の月。芒種は「禾のある穀物の種を撒く時期」ですから、
田植えの月ということが出来るでしょう。
田植えではなくて、「種を撒く」と有るじゃないかと言いますが、種をまい
て苗を育て始める時期と言うことでしょうか。現在は、苗代である程度まで
稲の苗を育ててから田植えをするようになっていますが、古い時代の稲作で
は種籾の直蒔きを行っていたと考えられていますので、それを表しているの
かもしれませんね。
◇現代は二十四節気は太陽の位置で決定
現代の二十四節気は太陽の視黄経と言われる位置を表す座標値(0〜360°ま
で)を15°毎に区切っていて、これを通過する日を二十四節気の節入りとし
ています。
こうした角度による方式を定気法(じょうきほう)と呼ぶのですが、この方
式は現在の旧暦の元になっている、最後の太陰太陽暦である天保暦から採用
された方式です。
芒種というと、本州でもそろそろ梅雨入りかなという時期。
田植えの済んだ田圃の表面に梅雨の雨粒が風景が思い浮かびます。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
日刊☆こよみのページ スクラップブック