日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■入梅(にゅうばい)
6月の天気の話題といえば「梅雨」ですね。
もうそろそろ梅雨入りですねというわけです。
本日はこの「梅雨入り」について採り上げてみましょう。
◇梅雨の名前
梅雨入りの話に入る前に、まずは「梅雨」について。
梅雨は、アジアモンスーンと呼ばれる季節風が夏の初めの時期に海から湿っ
た空気を運び込むことによって起こるもので、「雨季」と捉えることができ
ます。
さてこの時期の雨がなぜ「梅の雨」なのかというと、梅の実が実る時期に降
る長雨であるからです。
日刊☆こよみのページに掲載している暦データにも時々顔を出す七十二候に
は芒種の末候に「梅の実黄ばむ」(6/16〜6/21)が有り、梅の実が熟す頃だ
と言うことを言い表しています。
◇暦の上での入梅
入梅は雑節の一つ。
雑節のほとんどは日本生まれなのですが、入梅については本家の中国にもあ
ります。
現在は入梅といえば、気象庁の「梅雨入り発表」が有りますのでTVの天気予
報や新聞の気象欄をチェックしていればそれがいつだったか判ります。
昔(〜江戸時代)はといえば、気象庁も有りませんでしたし、夕方の天気予
報番組などもちろんありませんでしたので、それに替わるものが暦に記載さ
れていました。それが入梅です。
入梅がいつの頃から暦に載ったのかというと、これは暦の歴史からすると意
外に新しくて、延宝六年(1678)の大経師暦に登場したのが最初だと言われ
ています。どの暦にも載るようになったのは貞享三年(1686)。大経師暦に取
り入れられてから10年後のことでした。
この当時の「入梅」の日取りは、二十四節気の芒種(ぼうしゅ)の後最初の
「壬の日」とされています。
○○の後最初の△の日
という決め方の場合問題になるのは、では○○の日そのものが△の日だった
らどうするかということ。○○の日そのものが該当するのか、その日をのぞ
くのかということです。
入梅が暦に載るようになった当初はやはり混乱が有ったようですが、次第に
芒種の日が壬の日にあたっている場合はその日が入梅となるということで一
致するようになりました。
ちなみに今年の「芒種後の最初の壬の日」は 6/7。つまり本日です。
では現在の「暦の上での入梅」がこの日かというとさにあらず、今年は6/11。
これは、最後の太陰太陽暦であった天保暦で、太陽の黄経が80°となる日を
入梅とすることが定められましたので、現在はこの定義にしたがって暦の上
での入梅を決定しています。
◇暦の上での入梅はあたる?
「暦の上では入梅です」というときには、「それなのに晴れの日が続きます
ね」というようなやや皮肉な使われ方をすることが多いようですが、暦の上
での入梅の日付は、本州の梅雨入りの時期としてなかなか良い線で、ほぼ梅
雨入りの平均の日に一致します。
ではなぜはずれるのか・・・それは梅雨のような気象現象は地域や年ごとに
よって異なるためで、致し方ない。暦の上の入梅はあくまでも目安。最終判
断は各自でくだして下さいということですね。
さて、今年の梅雨入りは早いか遅れるか。どうなりますかね。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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