こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■後の衣替え(のちの ころもがえ)
 10月に入って、一気に気温が下がったようです。
 そして昨日、10/1は気温の低下に連動するように、衣替えを行った地域が多
 いと思います。

◇衣替え(ころもがえ)
 現在の衣替えは大体 6/1と10/1の年二回という場合が多いようです。
 もちろん、北は北海道から南は沖縄県までと細長い日本ですから、それぞれ
 の場所での気温の差は大きく、全部一律というわけではなく、地域ごとに衣
 更えの時期は前後します。

 この衣替えという行事は平安時代から宮中に伝わった行事で 4/1〜9/末日(
 共に旧暦)までは夏の衣、その他は冬の衣となります。この日の変化は服装
 だけに止まらず調度品なども夏用と冬用の切り替えが行われたそうです。

 どちらも衣替えの日ですが、区別する場合10/1の衣替えを「後の衣替え」と
 呼ばれました。

 衣替えは元は「更衣(こうい)」と呼ばれていましたが、この更衣と言う言
 葉は宮中の女官の役職(天皇の衣服の世話をする)名であったため、区別を
 するため「衣替え」と呼び変えられるようになりました。

 「十二単」という服装からも分かるとおり、当時の服装は幾重にも重ね着す
 るもので、気温の変化に併せて下着などで温度調整を行ったようです。


◇細分化された衣替え
 木綿の衣服の普及などにより、気温に併せた服の変化も多様化し、それに伴
 って衣替えも細分化されていきました。
 江戸時代の武士の衣替えは 4回。日付は以下のように決まっていました。

  4/ 1 ・・・ (2007/ 5/17):袷小袖(あわせこそで)
  5/ 5 ・・・ ( 〃 / 6/19):単衣帷子麻布(ひとえかたびらあさぬの)
  9/ 1 ・・・ ( 〃 /10/11):袷小袖(あわせこそで)
  9/ 9 ・・・ ( 〃 /10/19):綿入れ

 最初の日付は旧暦の日付、()内はこれを新暦に変換したものです。更に後ろ
 はこの日からの衣服。9/1〜9/8の 8日間しかない短い期間もありましたが、
 そんなにこまかくなくても良いような気がするのですが。

 ちなみに難読姓に「四月朔日」と言うものがあります。
 これは四月朔日には、冬の服である綿入れから綿をぬくということから、特
 に綿貫(わたぬき)と呼んだことにかけて「わたぬき」と読みます。
 お知り合いにこんな名字の方、いらっしゃいませんか?


◇現在は 6月と10月
 江戸時代は結構忙しかった衣替えですが、明治時代からは和装から洋装への
 変化などもあって、温度調整が容易なったことなどから衣替えは年二回に簡
 略化されて、現在の 6月と10月となりました。
 この 6月と10月の衣替えは、日付から見ると江戸時代の衣替えで言えば最初
 (旧暦 4/1)と最後(旧暦 9/9)の衣替えに相当しそうですね。


 現在の衣替えは、地域によって多少の違いがありますし、制服などが無い場
 合は特に衣替えを意識することも無くなりました。
 私の住んでいる場所は温暖な地域ですので、夏服から冬服からの切り替えは、
 もうちょっと後。
 寒がりな私にはちょっと辛い今日この頃の気候です。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック