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■運動会の始まり
 今日は 10/10。2002年までは「体育の日」でした。
 この日が体育の日とされたのは東京オリンピックの開会日を記念してですが、
 2003年からは、体育の日が10月の第 2月曜日に移動されてしまって、少々影
 が薄らいでいます。

 この体育の日に関係する話は、昨年から何度か書いておりますので、同じ内
 容を書いてもつまらないので、今日はちょっと横道にそれてみたいと思いま
 す。真っ当な体育の日に関する話は、次のURL でお読みください。

  「体育の日」のはなし・・ http://koyomi8.com/doc/mlwa/200610090.htm
  旧「体育の日」のはなし・ http://koyomi8.com/doc/mlwa/200610100.htm
  体育の日 2007 ・・・・・ http://koyomi8.com/doc/mlwa/200710080.htm

 寄り道して話す内容はと言うと、運動会の話です。
 「体育の日」と言えば秋、秋と言えば運動会(?)。
 とにかく「運動会」と「体育の日」ですからあながち無関係とも言えないで
 しょう。よって、強引に運動会の話をします。


◇日本最初の運動会
 日本で「運動会」らしき行事が行われた最初の例は、遡ること1874年(明治
  7年)のことであると言われています。その運動会発祥の地はどこかという
 と、東京は築地にありました海軍兵学寮。

  「競闘遊戯(きょうとうゆうぎ)」

 がそれだと考えられます。残念ながら時期は 3月と言うことですからスポー
 ツの秋で運動会と都合よくは行きませんでした。

 さてこの競闘遊戯ですが、競い闘うばかりではなくて、「遊戯」とあるとお
 り、娯楽的な要素の競技も大分混じっていたようです。現在の運動会にも、
 徒競走のような純粋なスポーツとしての競技の他に、借り物競走や二人三脚
 といった娯楽的な要素の強い競技が混じっているのは、この元祖運動会から
 の伝統でしょうか?

 この競闘遊戯ではどんな競技が行われたのかというと、三段跳びだとか200
 ヤード競争、綱引き、肩車競争などが行われたようです。まあ、この辺りは、
 「まともな競争」ですが、変わった競技として目を引くのが、

   豚追い競争

 文字通り、子豚を追いかける競技です。追いかけられるのはただの子豚では
 なくて、体中に油を塗った子豚だったようです。
 これを学生たちが追いかけるわけですが、捕まえたと思っても油を塗った子
 豚なので、つるりと腕を滑り抜けてまた逃げるという具合で、その追いかけ
 っこの様子に見物の人々から、やんやの声援が送られただろうことは容易に
 想像出来ます。現代の運動会にこれが無いのは残念でなりません。


◇「運動会」という呼び名
 運動会が、現在のように運動会と呼ばれるようになった最初は1883(明治16)
 年の東京大学運動会だとされています。
 二葉亭四迷の小説「浮雲」に、飛鳥山で開かれる運動会に行く息子に小遣い
 をせびられる場面が登場しますが、その箇所で

   飛鳥山でうどん会

 と母親が会の名前を取り違えている様子が描かれています。
 「浮雲」は1887年に発表された小説ですから、飛鳥山での運動会が始まって
 から 5年目に書かれています。 5年が経過してもまだ「運動会」という名前
 はあまり一般的ではなかったことがうかがえて面白いですね。


 私の回りの小中学校の運動会は今年は先週当たりまでにほぼ終了しました。
 ですが他の地域ではまだこれからと言うところも有る思います。
 スポーツの秋とは言え、普段運動と無縁の生活を送っているような方は、い
 きなり頑張りすぎて怪我などなさいませんように。
 本日は、旧体育の日にちなんで、運動会の始まりの話でした。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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