日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■明けの明星と月のランデブー
本日の話題は、みーすけさんから頂いた次の質問から始まります。
みーすけさんから(10/16 のメール) ----------------------------------
今朝、たまたま早起きしたので「明けの明星」を見てみました。きれいで
した。春には夕方に「宵の明星」を見たのですが、その時は (5月20日
だったと思います) 三日月と金星が寄り添うようでした。
今朝はもちろん金星のみでしたが、時期を狙えば春のように月と金星が寄
り添う「明けの明星」を見ることが出来るんでしょうか?そしてそれはい
つ頃のことでしょうか?
それと春は宵の明星、秋は明けの明星がきれいと言いますが、他の季節で
も見ることは出来るんですよね?
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なるほど。みーすけさん同様早起きの方は、金星が明け方の空で輝く明けの
明星になっているのを目にされていることと思います。
みーすけさんが見たいと仰る明けの明星と月の並んだ姿もしばらくの間は月
に一度の割合で起こります。
ただ、月に一度近付くとはいっても、程度があってすごく近付くこともあれ
ば、そうでないこともあります。5/20の夕方の金星と月との距離は角度にし
て約 4°程でしたから、これに近いような状態を探してみましょう。
計算してみると10/7の明け方 4時頃がちょうど5/20と鏡で映したように似た
ような状態になりました。みーすけさんももう少し早く気が付いていればよ
かったのに・・・。これだけではあまりにつれないので、未来に目を向ける
と11/5か 6の明け方辺りはいかがでしょうか? 午前 4時〜 5時頃です。
月と金星が近いという点では、11/6の方が近いのですが位置関係では11/5が
5/20に近いです。いっそ、11/5,6と両方眺めて細い有明の月と明けの明星と
の位置の違いを見比べてみるのも良いかも。まずは早起きですね。
◇明けの明星と宵の明星
みーすけさんからのメールで「春は宵の明星、秋は明けの明星」とあったの
ですが、明けの明星が必ず秋になるわけではありません。
金星と地球、そして太陽が同じ位置関係となる周期を金星と地球の会合周期
(かいごうしゅうき)といいます。この周期は平均 584日。
明けの明星と宵の明星、つまり金星が明け方に見えるか夕方に見えるかは、
この会合周期の 1/2の間隔で切り替わります。およそ 292日、10ヵ月弱毎で
1年ピッタリではないですから、明けの明星になるのか宵の明星になるかは
年毎に少しずつ変化することになります。
今年は 9月から明けの明星となりましたから、来年の春一杯、金星は明けの
明星として輝き、夏になってから宵の明星へと移り、再来年の早春まで宵の
明星と呼ばれることになります。
◇金星と月のランデブー
金星が明け方の空、あるいは夕方の空に輝いている期間は半年以上も続きま
す。その間に月は「月に一度」、金星の近くをすり抜け(?)て行くわけで
すから、金星と月のランデブーは結構な頻度で起こります。
注意して月の動きを見ていれば、特別な計算などしなくても大体いつ頃に月
と金星が近付くか見当がつくようになると思います。
「明けの明星と月がいちばん近付いた時」だけでなく、時々月や星に目を向
けて見てください。
本日は暦というより、天文のこぼれ話でした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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