日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■秋の色
秋の色と言ったらどんな色でしょうか?
それぞれの季節には様々な色があり、秋の色と言われて思い浮かべる色は人
様々だと思います。
例えば赤、赤トンボ、紅葉、夕焼けの茜色。
例えば青、空や水の深い青。
例えば黄、柿の色、蜜柑の色、頭を垂れる稲の色。
季節の色は様々ですが、ことに秋は彩りの季節と呼んでもよいほど、沢山の
色の思い浮かぶ季節かもしれません。
そう言えば、今日は旧暦の九月十六日。九月といえば、
彩る月(いろどる つき)
という異称を持つほど。
沢山の色に彩られた季節と言うことが出来るでしょう。
◇季節と色
暦の上の上では季節にはそれぞれ色があります。
冬は黒(玄)、春は青、夏は赤(朱)、秋は白
が暦の上の季節の色です。
暦の上の季節に色が付けられるのは、このメールマガジンにはたびたび登場
する五行説によります。五行説は「木・火・土・金・水」の 5つの性質で森
羅万象を説明しようとした物です。森羅万象ですからその中には季節も、そ
して色も含まれています。その関係を見ると
木 : 春 、 青
火 : 夏 、 朱(赤)
金 : 秋 、 白
水 : 冬 、 玄(黒)
土 : 土用、 黄
と季節と色が五行によって結びついているのです。
この季節と色をつなげて、青春や朱夏、白秋や玄冬といった言葉も生まれま
した。有名な文学者、北原白秋の白秋もこうして出来た言葉のひとつです。
◇いろなき季節
前段の話とまるで矛盾するような話ですが、秋は色なき季節とも言われます。
秋は「白秋」と言うくらいで「白」という色があるじゃないかと言いたくな
りますが、これを「色なき」とするのは、白は一色ではないという考えから
です。
白い紙に絵の具を載せればそこに見える色は絵の具の色です。もしこれが白
い紙でなく、赤や青、黒と言った色の付いた紙の上に置いた絵の具だとすれ
ばどうでしょうか? 紙の上の絵の具の色は、絵の具そのものの色には見え
ないはず。
白は全ての色を邪魔しない、全ての色を載せる素となる色であることから素
色とか、色なき色と考えられます。
秋の色がその「色なき色」であることから、秋はまた「いろなき季節」とも
とも呼ばれます。
◇いろなき季節と彩りの季節
いろなき季節は秋が、全ての色を載せることの出来る白(素色)の季節だか
らと説明しました。素色の季節なので素秋とも書きます。
秋は全ての色を載せる白の季節ですから、一つの色に染まる季節ではなく、
冒頭で述べたような様々な色を載せる彩りの季節とも呼ばれます。
「色なき季節」と「彩りの季節」
矛盾するかのような二つの内容が秋と言う季節の中には矛盾なく収まってい
ます。
本日は、色のない秋のその「秋の色」の話でした。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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