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■月は東に、日は西に
 一昨日の 11/24は満月でした(2007年の話)。
 この日の夕方に、私は滋賀県から三重県に向かう国道 1号線を車で走ってい
 ました。北西の方から南東へ向かって車を運転していいると右の窓から夕日
 が沈もうとしている様子がよく見えました。直接太陽を見てもまぶしくない
 ほど、大気で減光した赤い夕日でした。

 交差点の赤信号で止まって、信号が青に変わるのを待っていると信号の赤い
 円のやや左手に、信号と同じくらいの丸く白く光るものがあるのに気が付い
 て、視線を信号機の赤からその白丸に移すとそこには、大きなお月様が浮か
 んでいました。
 遠くに見える御在所岳の辺りから昇り始めてまだ間もない満月が、薄暗くな
 り始めた空に浮かんでいました。


◇満月は東に、夕日は西に
 与謝蕪村の有名な句に

   菜の花や月は東に日は西に

 があります。「菜の花」とあるように春の夕暮れ時を読んだ句です。
 この菜の花の印象が強いためか、こうした「月は東に日は西に」という状況
 は、とても珍しい現象で、それは春にしか起こらないと思いこんでいる方が
 いました。そんなこと無いのですが、こうした思いこみを持つ人は少なくな
 いようです。
 珍しくないと書きましたが、ではどれくらいあるかと問われれば、

   大体、月に一度の割合です

 がその答え。
 その月に一度のタイミングは満月の日または、その前後1日くらいの日。
 この満月の頃でよく晴れた日に夕日を眺めて、後ろを振り向くとそこに丸い
 月が浮かんでいるのを見ることはそんなに難しいことでは無いのです。
 私の一昨日の体験も、この条件を満たす日時であったためでした。


◇状況再現
 11/24 に私がみた太陽と月の状況を計算によって再現すると次のようになり
 ます(計算場所は滋賀県甲賀市付近)。

  太陽(日没) 時刻 16:45 方位 246°(西南西)
  月 (月出) 時刻 16:06 方位  60°(東北東)

 実際に見た時刻は日没の少し前ですから、 16:40頃。そのころ月は地平線か
 ら約 5°程のぼったところにあったはずです。最初に書いたとおりその方角
 とには遠くに御在所岳が見えていましたから、地平線より山並みが 2°ばか
 り高い位置まで覆っていましたから、月はその山並みの直ぐ上に浮かんでい
 る感じでした。

◇なぜ満月のときにそうなるの?
 11/24 の日刊☆こよみのページがあればご覧下さい。
 (お手元に無ければ、http://koyomi8.com/cgi/magu/ からご覧下さい)

 その、「平成 19年 11月 24日 の暦」を見ると、

  ■祝日・二十四節気・雑節等
   満月  望。月と太陽の黄経差が180°となる日。
      天文学的満月。旧暦の十五夜とは一致しないことが多い。

 とかかれています。この「満月  望。月と太陽の黄経差が180°となる日。」
 が月が東に日は西にとなる理由です。満月とは月と太陽がちょうど 180°離
 れた場所に見える日ですから、「西と東」と 180°離れて見えるのはしごく
 当たり前なのです。
 考えてみれば、「あ、そうか」という話ですね。

◇次回のチャンスは?
 今月はもう「月は東に日は西に」のチャンスが無くなってしまいましたが、
 次回はいつ頃がよいかというと、満月は 12/24のクリスマスイブの日ですが、
 この日は月の出が日没とほぼ同時なので、地平線上に山や建物などの障害物
 があると月と太陽を同時に見ることは出来ませんので、安全を考えるとチャ
 ンスはその 1日前の 12/23の夕方となります。

 この日の日没は 16:33、月の出は 15:24(計算場所は東京)ですので、チャ
 ンスは 16:10〜30頃。
 今年一年の最後の「月は東に日は西に」をその目で確認なさってみては如何
 でしょうか?


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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