日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■お歳暮
盆暮れの挨拶にと、お世話になった方々に贈り物をする慣習があります。
盆の方は「お中元」、そして暮れの方は「お歳暮」がそれにあたるものです。
◇お歳暮とは?
歳暮(せいぼ)とは、
歳暮の礼
を略したものです。
この頃に贈り物をするのは、年末から年始にかけて先祖を祭り、歳神を迎え
るという祭事への供え物を贈るものでした。元々がこうした歳神へのお供え
物に始まった行事ですので、その贈り物の内容としては今でも塩鮭、鯣(す
るめ)、数の子、干し魚といった歳神への供え物に適した食品が多く選ばれ
ました。
現在では、その本来の目的である「歳神への贈り物」という意味が忘れられ
てきましたので、贈り物の内容も変化していますが、それでも贈り物の多く
が食品であることなどは、忘れられた本来の意味の微かな名残のような気が
します。
◇お歳暮の時期
本来の目的が正月の歳神祭りのお供え物を贈ることでしたので、贈り物の時
期は正月の準備が始まる頃と言うことで、12/13 の「正月事始め」の日から
12/20 頃までが一般的でした。
これより遅くなるような場合は、「御年賀」と表書きを変えたそうですが、
現在でもそんな風に変えているのかどうかは定かではありません。
お歳暮と言えば現在は、デパートから宅配されることが多いものですが、出
来ればきちんと風呂敷につつんで、持参して感謝の意を伝えたいもの。
下手な鉄砲ではないですから、数撃ちゃ当たる的な贈り物ではなく、本当に
感謝したい少数の相手に贈りたいものです。
◇鰤正月(ぶりしょうがつ)とお歳暮
お歳暮の贈り物として、鰤(ブリ)が喜ばれる地域があります。
鰤は出世魚(東京:ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ、大阪:ツバス→ハマチ
→メジロ→ブリ)として知られる目出度い魚。また寒鰤(かんぶり)という
言葉があるほどで、冬においしい魚と言うことで、この時期の贈り物として
喜ばれたものだと思われます。
地方によっては、嫁の実家に歳暮として鰤と反物一反を贈ると言った風習が
あったそうです。
贈られた嫁の実家ではそれを正月に飾って、こうした歳暮を贈ってくれる良
い婿に嫁いだと、その良縁を周囲の人にお披露目すると言った風習があった
そうです。
この説明を書きながら、妻の実家に鰤を贈ったりしたことのない私は、ちょ
っと冷や汗。
幸い、私の住んでいるこの辺りでは、鰤正月の風習はないから・・・。
何はともあれ、形式だけにながされず、お世話になった方々に心を込めた贈
り物をすることに致しましょう。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
日刊☆こよみのページ スクラップブック