日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■日照時間と日出没時刻の関係
冬至を過ぎたばかりで、まだまだ昼の短い季節ですね。
昼の時間が短いですから、少しの陽射しでも貴重と言うことで、本日は陽射
しと関係した話題を一ついたしましょう。
◇日照時間と昼時間
> 12月の昼時間をだしてみました。
>
> この場合の昼時間とは、「日照時間」とイコールといえるのでしょうか。
> また、昼時間イコール日照時間でないとした場合には、日照時間を求める
> にはどうすればいいのでしょうか。
さて、ここで「昼時間」という聞き慣れない言葉が登場しました。
この言葉は何かというと、Web こよみのページの日出没計算ページに登場す
る言葉で、日出から日没までの間の「昼の時間」の意味です。
素直に「日照時間」といえばいいじゃないか
といわれそうですが、そうなっていないのは私が天の邪鬼だからと言うわけ
ではありません(私が天の邪鬼でないと言うわけでもありません)。きちん
と理由が有ります。
日照時間と言う言葉は、日照の有った時間の長さですがこの「日照」とは、
単に日が出ていると言うものではなくて、次のように定義される気象用語で
す。
「日照」とは直射光の直達日射量が120W/m2以上ある状態
つまり曇りとか雨とかの天気の影響も含めたものなので、太陽が昇っている
時刻であっても、曇りなら「日照」とはならないわけです。
お天気まで関係してしまうとなると、単に太陽の位置を計算して日出没を計
算したからと言って、それでは「日照時間」が判らないということですね。
日照時間は、測ってみないと判らないものと言えそうです。
◇可照時間(かしょうじかん)
日照時間に関しては、「測ってみないと判らない」ものですが、測ってみな
いと判らないではいろいろと不都合が有りますね。
そこで登場するのが「可照時間」。
こちらは、もし雲などが無ければ陽が射すだろうと言う時間の長さです。
これなら、なんだか計算出来そうですね。では、可照時間は昼時間と同じか
というと、残念。ほんの少しですが違います。
可照時間の定義は無いかとネットを検索してみると次のサイトで説明を見つ
けました。
名瀬測候所技術課見学レポート 地上気象観測編
http://www6.ocn.ne.jp/~maruyu/p001/jma_naze_gijutsu.htm
このサイトの記述を引用すると、
『定義
日照時間とは、直射日光が地表を照射した時間である。太陽の中心が東
の地平線または水平線に現れてから西の地平線のまたは水平線に没する
までの時間を可照時間といい、可照時間に対する日射時間の相対比を日
照率という。
気象官署では気象庁本庁において計算された半旬別および月別の可照時
間の値を用いる。なお、緯度毎の可照時間は地上気象常用表の第20表に
示されている。山岳など地形による日照時間の伸縮は、可照時間や日照
率に考慮していない。』
嬉しいことに、日照時間、日照率まで説明してくれているではないですか。
これは大助かり。
この定義のとおりであれば可照時間は計算可能です。
◇こよみのページの「日出没時刻計算」を使って可照時間を求める
可照時間の定義は、普通の日出没の定義とちょっと違います(地平線にかか
る部分が太陽中心か、上辺か)。またそれを観測する人の状態の想定もちょ
っと違いますが、これは日出没時刻計算のオプションでパラメータを変更し
て対処出来ます。
パラメーターの変更箇所は次の 2点です。
1.眼高 → 0.0m (デフォルト設定 3.0m)
2.出没計算基準位置 → 中心 (デフォルト設定 上辺)
さ、これで計算可能(厳密には大気差の取り扱いなどに違いが有ると思うの
で、数秒から十数秒の差はあると思います。この辺はご容赦を)。
実際にやってみると、やはりデフォルトの昼時間と、この可照時間にはちょ
っとした違いがありました。東京での今月( 2007/12)の総時間数を計算す
ると
可照時間 302時間 7分
昼 時間 304時間 0分
なるほど、1日1日の差は3〜4分ですが、塵も積もると 2時間以上の差にな
るんですね。
もし何かで、「可照時間」が必要になることが有れば、こよみのページを使
ってみてくださいね。
そして、日照時間は・・・やっぱり測ってください・・・。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
日刊☆こよみのページ スクラップブック