日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■天神縁日(てんじん えんにち)
なにか、暦のこぼれ話に書く話はないかなと今日の記念日を眺めていると、
天神縁日(毎月25日)
と言う文字を発見。そういえば縁日について書いたことはなかったと思いま
したので今日はこの天神縁日を話題にしたいと思います。
縁日(えんにち)というと、「祭り」というイメージがあります。
何となく、近所の大きな神社やお寺にはその日、屋台の出店が並んで・・・
と、ただその出店目当ての子供の時に定着したイメージですね。
子供なら、まあこんなものでしょうが大人になった今は、そもそも縁日って
何だろうと屋台以外にも目が向くようになりましたので、この辺りから話を
始めようと思います。
◇そもそも「縁日」とは?
縁日とは神社や寺の創建やその寺社に祭られる神仏の降誕などの特別な日に
行われる祭典、供養の日です。
元々は「会日(えにち)」と言ったそうですが、それが訛って「縁日(えん
にち)」となったそうです。漢字の「縁日」は、寺社に祀られた神仏と人間
の間の有縁の日(縁が結ばれた日)と言う意味で使われるようになったもの
です。
この日は、祀られた神様や仏様にとっても特別な日なので、この日参拝した
者には、特別なご利益があると考えられ、この「特別なご利益」を授かろう
と、この日に参拝する人が増え、結果として冒頭で書いたような、
屋台の出店が並ぶ
ことになったわけです。
遊びに行った相手がたまたま誕生日で、誕生ケーキのお裾分けに与ったよう
なもの・・・なんて説明したら罰が当たるでしょうか?
それぞれの縁日は、多くの場合元々は年に一度しかないというものだったよ
うですが、神仏への参拝が盛んになるに従って、年に一度では少なすぎると
言うことで、現在は月一度とか、十日毎とか、どんどん増えています(水増
し・・・なんて、これも罰が当たる発言?)。
◇天神様の縁日とは
天神様と言えば、全国に沢山存在する天満宮に祀られた神様。菅原道真(す
がわらのみちざね)の神号です。
皆さんもご存じのとおり、菅原道真はその能力、人気を時の権力者にねたま
れて左遷され、その任地で無念の死を遂げた人物とされます。
菅原道真の死後、都では天変地異が続発し、ことに落雷とこれに伴う火災な
どの被害が続いたため、これは菅原道真様の祟りだと人々がおそれ、菅原道
真を火雷天神という神に見立てて、これを祀ることによって祟りを除こうと
建てられたのが京都の北野天神(天満宮)です。天変地異を菅原道真の祟り
と結びつけ最大の理由は、菅原道真の左遷に関わった権力者の後ろめたさだ
ったかもしれません。
なぜ毎月25日が縁日になっているかというと、これは菅原道真の命日が二月
の二十五日(もちろん旧暦の)であることに由来しています。
既に書いたとおり天神様は、最初雷神として恐れられたのですが菅原道真が
元々優れた学者であったことから次第に「学問の神様」と考えられるように
なり、25日の縁日には進学を控えた人やその身内の者が盛んに参拝するよう
になりました。
今頃の時期はちょうど受験シーズンのまっただ中。「学問の神様」である天
神様への参拝にもますます力がこもることになるのでしょうね。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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