日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■桜の休眠と目覚めの話
3/31ですから大分以前になってしまいましたが、こんなメールを頂きました。
> サクラの季節になりますと例年「?」発生
> 関西の現状は開き始めから6/7分咲き、
> 東京からは昨今盛んに満開情報です。
> 植物は、西日本が先で東日本はその
> 後追い北上が日本列島の緑系の常
> 識みたいに思い込んでいますので、
> サクラの季節には毎年疑問発生です。
> このモヤモヤの解消法を・・・・よろしく。
akさんからのメールでした。
桜前線の通過時期をまとめた地図を眺めても、また各都市の開花宣言時期を
並べて考えても、確かに南の地方より北の地方の方が桜の花が早く咲くとい
うことは、しばしば起こっていることで、私もかねがね不思議に思っており
ましたので、今年の状況と、この逆転現象の理由を調べてみました。
◇各都市の開花宣言日(2008年)
都市別の開花宣言の2008年の日付をざっと見てみましょう。
1.3/22 ・・・ 東京・静岡・熊本
2.3/24 ・・・ 和歌山
3.3/26 ・・・ 大阪
4.3/28 ・・・ 鹿児島
5.3/30 ・・・ 福島県(小名浜)
上の1〜5までの街は特別に何かがあって選んだわけではありません。
適当に選んだものです(和歌山は在住地、福島は出身地なので選びましたか
ら「特別」かもしれませんがね)。
確かに、なぜか東京が早い。
東京だけだと、大都市に顕著に現れるヒートアイランド現象の影響かななん
ていう考えも浮かびますが、他の都市をみてもやはり北の方が早く開花する
という逆転現象があるので、ヒートアイランド現象だけでは説明は困難なよ
うです。
ではいったいなぜ?
◇桜の休眠と休眠打破
この逆転現象の謎は、桜の花の咲くメカニズムにあるようです。
桜の花芽は一般に 6月にはつき始めて、秋に葉が落ちると栄養を蓄積しなが
ら休眠状態とります。
そして、この休眠状態が破れる「休眠打破」の条件がそろうと、あとは気温
の上昇に従って、花をつけることになります。
この休眠打破の条件とは、
一定期間寒さにさらされること
なのだそうです。
このある程度の寒さの目安は摂氏 5度ほど。
つまり南国であまり寒くならない地域だと、この「休眠打破」が起こる条件
である「摂氏 5度以下」の状態にがなかなかならず、結果として桜の目覚め
が、遅れてしまう事があるためらしいのです。
晩秋に桜が花を咲かせてしまうような狂い咲き現象も、秋に寒波が押し寄せ
てこの桜の休眠打破の条件にあうような寒い日があると、花が冬を迎えて、
春に向かっているのだと勘違いして咲いてしまうものなのだとか。
そうだったのか・・・。
ちなみにこの辺りの話は、
「このはなさくや図鑑」というサイトに詳しく書いてありました。
もっと頭を整理したい方は、このサイトをご覧下さい。
このはなさくや図鑑 (開花の仕組み)
http://hccweb5.bai.ne.jp/nishicerasus/nishikaika.html
ああ、私もずっと「何でだろう」と思っていた事が理解出来てよかった。
きっかけを下さった、akさん、有り難うございました。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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