こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■月の大小
 昔の記録の断片から、その日が何年の何月だったか調べられるようなページ
 があったらいいな・・・なんて思うことが時々ありました。

  西向く士小の月

 というのが月の大小の並びを表す言葉だとみなさんご存じのことと思います
 が、昔の暦は大の月と小の月がどのように並ぶかは年毎に変わって、それこ
 そ暦を見てみないとわからないものでした。

 現在の暦ではこれからもずっと、「西向く・・・」と唱えていればよいので
 すが、旧暦時代は毎年新しく覚えなければいけなかったのです。

◇毎年変わるということは?
 逆に考えると、ごく一部でも月の大小の並びがわかればその年がいつだった
 かもわかるのではないかとも考えられます。
 こう考えたので、冒頭で述べたようなそれを調べられるページがあればいい
 なと思ったわけです。そして作ってみました(まだ試作品なので公開してい
 ませんが)。

 例えば、現代と同じに「西向く士」が小の月、それ以外が大の月となる年が
 どれくらいあったかを江戸時代(ここではひとまず1600〜1868年を江戸時代
 として考えることにします)について調べてみると

  1651年・1801年・1837年

 の 3回しかありません。まあ、この場合十二ヶ月全部がわかるという好条件
 での検索なのでこれくらいに絞り込まれても当たり前かも知れませんが、も
 っと断片的でもかなり絞り込みが出来ます。
 折良くといいますか、Web こよみのページの掲示板に最近こんな書き込みが
 ありました。

  「江戸時代に先祖の書いた記録を読んでいたら
    十一月大壬子、閏十一月小、十二月大癸丑
   とありました」

 というのがその内容です。
 十一月大・閏十一月小・十二月大という並びの暦が江戸時代に何回あるかを
 調べてみると、

  1601年・1639年・1737年・1813年 の 4回

 だけです。さらにこの方のご先祖様は月の干支を「十一月大 壬子」のよう
 に書いてくれておりましたので、十一月が壬子になるとしが上の 4回のうち
 にあるかを調べると、さらに絞り込めます。ただし干支の内、十二支の「子」
 はいつも十一月ですので、絞り込みに役に立つのは十干の方だけです。

 十一月を表す十干は、 5年毎に「甲・丙・戊・庚・壬」の順で変化します。
  5年ごとなのでこれに対応する西暦年は下一桁が

  甲:3,8 、丙:4,9 、戊:0,5 、庚:1,6 、壬:2,7

 となります。つまり十一月の月の干支が「壬子」となる年は西暦年の下一桁
 が 2,7いずれかの数字となる年となり、該当するのは1737年の 1回だけとい
 うことがわかります。たった 3ヶ月の記録でも、上手く条件がそろうとこん
 なに絞り込めるのです。これは何か役に立つかも知れませんね。

◇今年の旧暦の大小の並びと同じ年は?
 今年の旧暦での月の大小の並びは、「大小小大小小大小大大小大」です。
 これと同じ配列になるのはいつか見てみると、江戸時代以後で調べてみても、

  1725年・1787年・1946年・2008年・2070年

 のようになります。次に巡ってくるのは62年後ですね。
 旧暦時代だと、今年の月の大小を「大小小大・・・」と一所懸命覚えても、
 次に使えるのは62年後。新暦で良かった? かな?

 それはそうと、月の大小からそれがいつか調べられるというページがWeb 上
 にあったら、それって利用価値があるでしょうか。どう思いますか?

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック