日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■今日は十五夜、明日は満月?
今日(2008/05/19)のデータを見ると、旧暦の日付が4/15となっていました。
四月十五日。この日の夜昇るお月様は十五夜のお月様。
十五夜といえば満月と相場が決まっています。
ところが、満月は今日ではなくて明日(5/20、旧暦4/16)なのでした。
◇望月、十五夜、三五月
満月のことを昔は望月(もちづき)といい、また十五夜の月ともいいました。
望月ということばを辞書で引くと、
【望月】(もちづき)
1.陰暦十五夜の満月。俳諧では特に陰暦八月十五夜の名月。秋の季語。
2.満ち足りたさま、賞美すべきさまの形容。
《広辞苑・第五版》
のような説明があります。
ここにも陰暦十五夜の満月とあるとおり、日本でかつて使われていた太陰太
陽暦では、十五夜の月といえば満月と相場が決まっていました。
十五夜の月といえば、旧暦の十五日の夜に昇る月ということ。いつまでかと
いえば、素直に考えて十六日の明け方に月が沈むまで、丸一晩は十五夜の月
と呼んでよいと考えられます。
三五月も、3×5=15 ということで、十五夜の月を指すことばとして使われて
いたようです。流石に現在は「三五月」なんておっしゃる方は、ほとんどい
らっしゃらないと思いますけれど、古い童謡などには残っているかも知れま
せん。
◇現在の満月
現在、満月という場合は、太陽・地球・月の順に一直線に並んだ状態を指し
ています。この状況は地球から見た太陽と月の成す角が 180°になった瞬間
と言い表すことが出来ます。
ここで「 180°となった瞬間」と書いたとおり、この現在の満月は定義上、
一瞬だけなのです。明日の満月はというと、
2008/05/20 11時12分
がこの満月の瞬間です。ですから、11時11分や11時13分は満月ではないこと
になります。普通に「5/20は満月」というのは、この満月の瞬間を含んだ日
が5/20だと言うことを意味しています。
今回の例だと、「満月の瞬間」は真昼。この時間帯ですと地平線上にお月様
がありませんので、意地悪な言い方をすると、
5/20の満月(の瞬間)は日本では見えない
とも言えるのです。
ここで、注意深い方は、
満月とは地球から見た太陽と月の成す角が 180°になった瞬間
と説明したじゃないか。月が見えないのに地球から見た太陽と月が成す角も
ないだろうと気が付かれるかも知れません。ここでいう「地球から見た」と
いうのは、実は
地球中心から月や太陽が見えたとしたら
ということを表しています。ですから日本で見えないからといって、成す角
が確定しないということはありません。
ちなみに、満月や新月の基準となる太陽と月の成す角とだけいった場合、天
文学的には、暗黙の内に地球中心から見た角度と考えます。見る場所が地球
中心という、架空の場所ですから、満月や新月となる瞬間とは、地球上どこ
であっても関係なく同じ瞬間となります。
◇満月と十五夜は同じ日にならない?
満月も十五夜も、もともとは同じものを指すことばだったはずですが、現在
の使い方からすると、今回のように日付が両者で異なる場合が出現します。
出現するなんて申しましたが、率としては「一致しない」という方が「一致
する」より高いのでした。
日付のずれは最大で二日になります。
まあ、とはいいながら「満月」の前後一日の月を眺めても(この場合肉眼で)
満月との差はまず気が付かないはず。満月とは旧暦十五日前後の丸くて明る
い月くらいに、アバウトに捉えてるなら、どちらでも良いとも言えます。
私は大雑把なのでこれでOKですが、皆さんはどんな風にお考えでしょうか?
いいですよね、大雑把で?
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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