こよみのぺーじ 日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■あなたにとっての初夏とは? (2008年調べ)
 Web こよみのページの掲示板にある日こんな書き込みがありました。

 「初夏といえば、 5月の連休頃の気候のことだと思っていたら、 7月頃の梅
  雨の明けた頃を、初夏と表現する人がいるようです。初夏という言葉に相
  応しい時期っていつでしょうか?」

 かなり端折り、またかなり脚色もしてありますが大意はこんなものです。
 まあ、私は 7月が初夏だと夏が短かすぎるかなという気がしますので、 5月
 あたりを初夏と呼びたいと思っていますが、言われてみれば希に梅雨明け頃
 に「初夏の陽射しが・・・」なんて言葉を聞いた記憶も朧気にありましたの
 で、日刊☆こよみのページ&Web こよみのページであなたにとって初夏とい
 えばいつかというアンケートを実施(期間 5/17〜22)してみました。

◇あなたにとっての初夏とはいつ? 新暦の月で答えてください。
 アンケートの結果は以下の通りです。

 総票数 234
  4月  1票( 0.4%)
  5月 157票(67.1%)
  6月  56票(23.9%)
  7月  19票( 8.1%)
  8月  1票( 0.4%)

 アンケートの結果は 5月が圧倒的多数(過半数)。次いで 6月、 7月と続き
 ます。結果を見てやや驚いたのは 1割に近い方が「初夏」と聞いて 7月を連
 想なさっていると言うことです。

 この点に関してはアンケートに投票してくださった方のお住いの地域情報が
 ないので、もしかすると北海道の方が投票してくださった結果なのかも知れ
 ませんのでだとすると、おかしくは無いのかも。
 ただ、掲示板に元となった書き込みをしてくださった方や、私自身の周囲に
 は少数ながらたしかに 7月を初夏と感じる人がいるようですから、この割合
 の中にもそうした人からの投票がいくらかはあるのだろうと思います。

◇暦的な初夏とは?
 長らく日本で使われてきた太陰太陽暦、いわゆる旧暦は、

  正月〜 三月 ・・・ 春
  四月〜 六月 ・・・ 夏
  七月〜 九月 ・・・ 秋
  十月〜十二月 ・・・ 冬

 としており、さらにその季節を細分して「初・中・晩」のように分けます。
 これからすれば「初夏」は四月、新暦で言えば4月末〜6月初め頃、だいたい
 現在の 5月頃がそれに合致します。
 この点からするとアンケートの結果は概ねこの伝統的な「初夏」の概念に合
 致したものと言えそうです。

◇旧暦の誤解に見える季節感の変化
 闇雲に旧暦を信奉する方の中に、

  「現在は立春が冬の寒さの中にあるのは、本来の旧暦の日付であるべき立
   春の日付をそのまま新暦に移したためである」

 なんてことをおっしゃる方がいらっしゃいます(私は現実にこうした「論」
 をお持ちの何名もの方々からメールを頂いた経験があります)。
 同じようなことは、立秋が酷暑の時期にあることなどでも持ち出されます。
 こうした方の考えは、現在の立春の 2/4は旧暦の 2/4をそのまま新暦に移し
 たものとすれば、「本来の立春」は新暦の 3月に入ってから。正に春の始ま
 りの時期だというものです。

 もちろんこの考えは間違いで、立春は昔も今も今の時期。まだまだ寒さ厳し
 い時期にあったのは、日刊☆こよみのページの読者の皆さんなら御承知のと
 おりです。

 ですが、こうした誤解がそれなりに説得力を持っているのはそうした方々が
 考える春の始めと、暦の上での春の始めがかけ離れているためだからでしょ
 う。天気予報の常套句「暦の上では○×ですが・・・」なども、こうした感
 覚上の季節と暦のそれがずれていると感じるから使われるのでしょう。

 この「ずれの感覚」が誤った旧暦解釈で何となく説明出来てしまうように思
 えることで、

  「ほらやっぱり日本の季節変化は、旧暦でないと上手く合わないのさ」

 となってしまったのでしょうね。
 暦の上での四立(立春・立夏・立秋・立冬)という言葉は現実の季節を表し
 て名付けられたというより、もっと観念的なものなのです。

 私たちは季節の変化の基準はどうやら専ら直接肌で感じる気温の変化で、暦
 のそれは光の強さ(南中高度と昼の長さ)の変化。肌で感じる気温の変化で
 は、 2月は春にはまだ早すぎ、 5月も夏と呼ぶには早すぎるという感覚がも
 しかすると

  初夏・・・ 7月?

 なんていう、感覚を生んでいるのかも。
 暦の上の季節と感覚上の季節の話を始めれば、とりとめなくなってしまいま
 すが、これからも両者の一致やずれについて考えていきたいと思っています。
 またどこかで、「アンケート」するかも知れません。
 そのときにはご協力をよろしくお願い致します。


  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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