日刊☆こよみのページ スクラップブック
(PV , since 2008/7/8)
■荷奪い
岩手県盛岡、旧南部藩には南部盲暦(田山盲暦、盛岡盲暦など)と呼ばれる
文字を使わず絵だけで表現した暦がありました。
盲暦は、「めくらごよみ」と読み、文盲の人のための暦の意味があります。
文字が読めなくても、暦が読める(?)ようにという工夫です。
日付についてはサイコロの目で表したり、暦に掲載される雑節や暦注を関連
した行事の絵や語呂合わせの連想ゲームのように絵で表したりと、なかなか
面白い工夫が施されていて、眺めていても面白いものです。
◇「荷奪い」は「にゅうばい」
この南部盲暦では、入梅の項に泥棒が馬の背に乗せた荷物を奪う絵が描かれ
ています。
泥棒が荷物を奪う → 荷奪い → にゅうばい → 入梅
というわけです。
絵を見てまず、「これは何かな?」と考え、その意味がわかると思わず手を
打ってしまうものが結構あります。
他にも芥子の実に濁点がある絵や、禿頭の男の絵があったり・・・。
この盲暦を作った人たちの工夫の程には、感服してしまいます。
まあ、中には現在だと説明されないと、全然意味がわからないものもありま
すが、まあそれはしかたがないですね。
今回は、梅雨の時期と言うことで「荷奪い」を取り上げましたが、この南部
盲暦にはこれからも、話の種が無くなったときには登場してもらおうかと思
っています。
でも「絵暦」なのに絵がないと判りにくいですね・・・。
この問題は、そのうちWeb 版に画像を載せるようにして対応することにしよ
うかなと思います。事前にその絵の一つを載せて、意味を推理してもらうな
んて言うのもいい手かも。そのときはお付き合い下さいね。
ではそのときにまた。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
日刊☆こよみのページ スクラップブック