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■旧暦と新暦の日並みの一致
 eizanka さんからのお便り
 > 今月は七夕やお盆の新・旧一月遅れ行事の日付けが一致しています。
 > 処で、新・旧の日付けが一月(或いは二月)遅れで同じである年・月は、
 > どの程度の割り合いで出現するのでしょうか。別に珍しい事でない?

 昨日、「最近話題に困っている」と書いたところお救いのメールが届きまし
 た。有り難うございます。
 早速、今日はそんなお救いメールのひとつから書き始めることにしました。

 今年は新暦の 8月と旧暦の 7月の日並みが一緒になりました。
 新暦の 8/1〜30が旧暦 7/1〜30と一致しています。
 旧暦から一月遅れで行事を行う擬似的旧暦(?)を「月遅れ」などといいま
 すが、今年はこの旧暦の日付と月遅れの日付が一致していた訳です。

 現在、月遅れの行事としてもっとも目立つのがお盆ですが、お盆は元々旧暦
 の 7月の行事ですから、今年のように旧暦の 7月と月遅れの 7月が一致する
 年というのは、お盆の予定を考える上では大変便利な年となります。
 さてこうした年はいったいどれくらいの頻度で出現するのでしょうか?

◇旧暦と新暦の日並みが一致する年
 新暦と旧暦の日並みが一致するということは、現在では単なる偶然の出来事
 といってよいでしょう。ただし、現在日本で新暦といわれる暦、グレゴリウ
 ス暦の元となったユリウス暦はその改暦の時点では、年初だけは太陰太陽暦
 との一致を図ろうとしました。

 これは、ローマ帝国で生まれたユリウス暦使用以前のローマ帝国の暦が太陰
 太陽暦の一種だったからです。改暦に際して暦の変更による社会生活への影
 響をいくらかでも小さくしようとして、このような配慮がなされたのだと考
 えられます。ただし実際にはぴったり一致させられた訳ではないので、努力
 だけはしてみましたという程度でしたが。それだけのことですが、太陽太陰
 暦と現在のれきが全く無関係であったわけではありません。

 さて、現在では新暦と旧暦の日並みが一致するのは偶然と言いましたが、旧
 暦は太陰太陽暦という暦で、一年の日数の平均は長い目で見れば太陽暦(新
 暦)と同じようになるように閏月で日数調整をしている暦です。ですから一
 度偶然に新暦と旧暦の日並みが一致することがあると、閏月が挿入されて旧
 暦と新暦の年の日数の差がリセットされる周期と同じ周期で、また日並みが
 一致する年がめぐってくる確率はグッと高まります。

 そのグッと高まる年というのは、3,8,11,19 年とその年の組み合わせで出来
 る年です。今年が2008年ですから、次は

  2011年(2008 + 3)
  2013年(2008 + 8 - 3)
  2014年(2008 + 3 + 3)

 あたりが怪しいと言うことになります。
 実際にチェックしてみると、

  旧暦 2011/06/01 = 新暦 2011/07/01
  旧暦 2013/12/01 = 新暦 2014/01/01
  旧暦 2014/02/01 = 新暦 2014/03/01

 と言った具合です。
 このようにどの月でもいいよといっていただければ、こうした旧暦と新暦の
 日並みが一致する年は結構あります。
 ただし、今回のように「お盆の月(旧暦 7月)限定」ということになると、

  前回は1943年、次回は2019年

 とちょっと離れてしまいます。
 お盆に関して言えば今年は、旧暦のお盆と月遅れのお盆が一致した珍しい年
 と言ってもよさそうです。

  (『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
   magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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