日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■地蔵盆(じぞうぼん)
地蔵盆は、主に近畿地方で行われる行事です。
地蔵盆は「お地蔵様」の名前で親しまれる地蔵菩薩の縁日、8/23〜25に行わ
れる行事で、元は地蔵会、地蔵祭などと呼ばれる法要でした。
現在は子供中心の行事となっているようです。
お地蔵様の縁日は毎月24日とされていますが、お盆の直後の縁日は特に盛大
に行われ、近隣のお地蔵様を洗ったり前掛けを交換したりし、供物や灯明を
捧げたりしてこれを供養します。
地蔵盆は本来は旧暦の7/24の前後に行われる行事でしたが、現在はもっぱら
月遅れの行事となって、8/24前後に行われるようになっています。
◇近畿地方で盛んなのは昔から?
このコーナーでは毎度お世話になっている守貞漫稿にも、
七月二十四日 大阪諸所地蔵祭
大阪市中、諸所ののき下等に壇を作り、棚を架し、地蔵を祭る者ははなは
だ多し。江戸の稲荷に比すべし。今日、必ず皆これを祭る。
という記述もあります。
また、何で読んだのか忘れてしまいましたが南総里見八犬伝の作者である滝
沢馬琴が、この地蔵盆の時期に京都を旅して、夜遅くまで灯明を灯し、六地
蔵巡りを行い、また大人達は酒盛りしながら町内問題を話し合ったといった
昔の地蔵盆の様子を書き残しています。
守貞漫稿の著者、喜田川守貞も滝沢馬琴も共に江戸に暮らした人。
江戸で暮らした二人にとっては大阪や京都で行われる地蔵盆は物珍しい行事
だったようです。
私も 3年ほど、この地蔵盆の慣習が残る京都の舞鶴という場所に暮らしたこ
とがありました。この時確かに道に面して立っているお地蔵様に沢山の灯明
が灯され、日が暮れてから子供達がそのお地蔵様にお参りしている様子を目
にしました。
東北出身の私は、「今日はなんかのお祭り?」と不思議に思いながらこの光
景を眺めたものでした。
◇子供の六地蔵巡り
お地蔵様は「地蔵菩薩」ですが、他の菩薩様や如来様とは違ってなんだかグ
ッと身近な存在です。
お地蔵様は全ての人々を救い、成仏させるまで、自分は決して成仏しないと
誓った菩薩様。そのため弱い者たちにとってはことさら有り難い菩薩様で、
身近な救い主であることが、人々に親しまれる存在となった理由でしょう。
お地蔵様が、とげ抜き地蔵、延命地蔵、子育て地蔵などのように苦難を肩代
わりしてくれる身代わり地蔵となるのも、人々を救ってくださる菩薩様だか
らだと思います。
さて、地蔵盆には炎天を避けて、日が暮れてから町内のお地蔵様を巡り歩き
ます。これを六地蔵巡りといいます。六地蔵とは人々が輪廻する六道、天道、
人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道をそれぞれ巡る地蔵菩薩で、この
六地蔵によって全ての人々が救われるわけですから、一年に一度くらいはた
っぷり、お礼をしないといけませんね。
六地蔵巡りをすると、無病息災・延命長寿の御利益があると言われています。
もっとも、現実の六地蔵巡りでは、子供達は巡り歩く各所でお菓子がもらえ
るので、延命長寿の御利益より、目の前のお菓子という御利益の方がありが
たいのかもしれません。
さて、私の住む和歌山も「近畿」ではあるのですが、私の家の近辺では地蔵
盆の風習は無いようです。お地蔵様への供え物も無く、お祭りの兆候もなく
至って静か。
皆さんの住む場所では、地蔵盆、行われているでしょうか?
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
magazine.sp@koyomi.vis.ne.jp までお願いします。)
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