日刊☆こよみのページ スクラップブック
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■月見の団子
今日は旧暦の八月十五日、今夜の月は仲秋の月である八月の十五夜ですから
中秋の名月となります。
◇月見団子のルーツは里芋?
中秋の名月といえば、お供え物は月見団子が定番ですが、月見団子が定着し
たのは意外に遅く、江戸時代も後期に入った頃だと言うことです。
ではそれ以前はというと、この日は芋を煮て食べたようで、このために中秋
の名月は「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれます。
この日、煮て食べた芋はもっぱら里芋。
芋の煮方については、皮をつけたまま茹で、食べるときにその皮をつるりと
剥いて塩などつけて食べるところや、最初から皮を剥いて醤油などで煮転が
して食べるところがあります。
私の子供の頃の記憶だと我が家は後者の煮転がし派でした。
ちなみに、前者の皮付きのまま煮る芋は、皮の衣を被ったままだと言うこと
で「衣被ぎ(きぬかつぎ)」と言います。
芋は栽培が容易で、また食べ方も簡単と言うことから稲作が始まる以前に栽
培されていたという説があります。中秋の名月は秋の収穫を祝う行事である
と考えられます。今と形式は違ったかも知れませんが、そんな古い時代から
秋の月に収穫物を供えていたのかも知れません。
なお、元々の供え物が芋で、それが団子に変化したのではと思わせる話しと
して、京阪神地方での月見団子は小芋のように少し細長く一方が尖った形に
作るということがあります。どうやら里芋の形を模して団子を作っているよ
うです。
◇団子の数
月見団子の数については特に決まりはないようですが、15個とか12個とかの
数にするところが多いようです。後者に関してはその昔は閏月がある年は13
個にしていたということから、「月」をその年の「暦月」の数に掛けてお供
えしたものでしょう。
15個派はもちろん満月を表す「十五夜」からと思われます。
◇団子盗人は大歓迎?
月見団子に関する面白い習俗としては、各地に
よその家の月見団子を盗んで食べてもよい
というものがあります。
地域の子供達が家々を巡って、垣根の隙間から竹竿をさし入れて団子を突き
刺して盗んでいくというような行事が日本のあちこちに残っています(もっ
とも現在の家の造りから、この行事の実行は難しくなっていますね)。
こうした行事は神(月)への供え物のお下がりをみんなで食べるという祭り
にはつきものの直会(なおらい)行事の変形と考えることが出来るでしょう。
ところによっては、団子盗を許すどころか歓迎するというところもあります。
これなどは、収穫に感謝すると共に次なる豊作を祈念する月見の供え物が無
くなってゆくと言うことはそれを供えた相手(この場合はお月様)が、供え
物を受け取ったということ。つまり願いが届いたと言うことの証だと考えた
からでしょう。
団子を盗みに来る子供達は、この日ばかりはお月様からの御使者という扱い
になるわけですね。
◇月見団子の禁忌
「よその家の月見団子を盗んで食べてもよい」という風習の裏返しの禁忌も
あります。
それは、自分の家の月見団子を食べてはならないというもの。
栃木県の大平町では「月見の供え物をその家の未婚者が食べると国廻りする」
と言って食べさせてはならないという言い伝えがあるそうです。
よその家の月見団子を食べてよいというのは、自分の家の団子を食べてはな
らないという禁忌があったからかもしれません(鶏と卵の関係みたいですね)。
◇さて今日のお月様は?
さて肝心の今日のお月様のご機嫌ですが、これを書いている私の家の窓から
眺める空はどんより。今にも雨が降りそう。
お月様が見えない名月の夜を無月と言いますが
名月の十のうち、八・九は見えず
といわれるように今日もまたお月様は見えない無月の夜でしょうか?
お月様が出てこなくても、月見団子は食べてもいいのかな・・・と卑しい悩
みを抱きつつ、月の出を待つことにいたします。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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